デザイナーの片川です。
本日は、【TREND Ai vol.5】のコラムを発信していきます。
楽しんでご覧いただければ幸いです!
「TREND Ai」とは、世の中に溢れるアイデアを楽しみながら学んで体験する、TOGUのマーケティングトレンド調査のことです。本コラムではトレンド・アイメンバーが調査した様々なトレンド情報を発信します!
創業200年以上の老舗線香屋「玉初堂」。
歴史あるお香メーカーが、現代のライフスタイルに合わせて立ち上げたインセンスブランドを調査してきました。
老舗ならではの伝統技術を活かしたブランディングをご紹介します。
目次
- 玉初堂について
- ICHIKŌ ICHIE / QNOWAを調査
- さいごに
玉初堂について
創業200年以上続く大阪の老舗お香メーカーです。
歴史は長く、文化元年(1804年)に広島で雑貨商として創業しました。
その後店舗を大阪に移し高級線香の製造を始めると、長い歴史の中で独自の調香技術を確立し、伝統技法を受け継ぎながら現在の玉初堂の礎を固めていきます。
そんな玉初堂がインセンスブランドを立ち上げた経緯として、玉初堂が卸売店のため消費者の声を直接聞く機会がなかったこと、また、コロナ禍でお香の需要が増え、流行りに乗って新しい客層を掴むねらいがあったそうです。
そんな玉初堂が伝統を守りながらも、ブランドをどのように現代のライフスタイルに落とし込んだのか、実際に店舗に行き調査してきました!
ICHIKŌ ICHIE
まず初めに、玉初堂が初めに立ち上げたインセンスブランドICHIKŌ ICHIEをご紹介します。
大阪梅田駅近くの阪急三番街南館1階うめ茶小路に店舗を構え、店内では若い女性が多く見られました。ベージュを基調とした店内は落ち着いた空間となっており、自分好みのお香探しに専念できます。
空間作り
ICHIKŌ ICHIEは調香だけではなく素材にもこだわり、店舗の内装も天然石を用いり左官で仕上げるといった天然の素材を使った空間作りがなされていました。
コンセプト
きょうも、一つ、よろこびを。
ブランドメッセージとして、日常に寄り添う香りの提案をされています。
パッケージはシンプルでありながらもグラフィックが美しく、インテリアとして飾ることもできます。
お香の種類は天然香木の希少性の高いものから、ミントやローズマリーなど、フレグランスのような日常に溶け込む香りまで幅広く展開されていました。
チャイや抹茶など珍しいお香もありました。
お香立てもあり、現代のインテリアに合わせやすいシンプルなデザインで、素材へのこだわりも感じられます。
ICHIKŌ ICHIEを調査してみて感じたこと
シンプルで洗練されたデザイン、現代的な色使い、天然素材を活かしたパッケージに変えることで、お香にあまり親しみのない若年層にも“なんかいいな”と思わせる魅力を感じました。
店内はパッケージをより際立たせるトーンで揃えられており、自然素材を使用することで冷たい印象はなく、ゆっくりとお香を選ぶことができます。
「お香」=仏事というイメージを払拭するブランディングになっていました。
QNOWA
続いて紹介するのは、2024年7月に第二のインセンスブランドとしてKITTE大阪にオープンしたQNOWAです。
開放的な店舗で客層はICHIKŌ ICHIEに比べてより若い方が多い印象でした。
空間作り
店内には、「べかこ」というスライド式の連子窓があります。
線香工場では職人がこの窓の開き具合を調整してお線香を乾燥させていたそうです。
昔ながらの線香工場の要素を上手く昇華し、現代的な和モダンの空間作りがなされていました。
コンセプト
「香りを通して時間に価値をもたらす」をコンセプトに、気分やライフスタイルに合わせて楽しめる香りを提供されています。
お香の種類は3つのテーマに分かれています。
Moments 様々な時間に寄り添う香り
Inspired 歴史を感じる香り
Eternal 時を超えて愛される悠久の香り
中でも特に印象に残ったのは、香りで時間を表現したMomentsです。
静寂の時間を表現した「4:00」から、夜ふけを表現した「24:00」までの計16種類の中から自分の気分に合わせて香りを選べます。
QNOWAを調査してみて感じたこと
お香独自のディティールはそのままに、初心者でも始めやすいコンセプトとデザインで幅広いターゲット層を掴んでいると感じました。
店内や香りは和風テイストでより上質なひと時を提供しながらも、開放的な店内やお値段が手頃ということもあり、ICHIKŌ ICHIEより若い客層が見られました。
さいごに
今回は、玉初堂が立ち上げたインセンスブランド2店舗をご紹介させていただきました。
ブランドの伝統を守ることを本質としながら、現代的な魅力を加え幅広いターゲット層の心を掴む。
玉初堂の最大の強みである、長い歴史の中で培ってきた伝統と技術、素材へのこだわりの追求、それらをコンセプトやデザインで上手く現代に落とし込んでいる印象でした。
皆さんも自分好みのお香を探しに、是非訪れてみてください。
それでは、次回のトレンド・アイコラムもお楽しみに!