2021.04.13仕事・スキル
東具で実施している輸送テスト手順のご紹介
東具で実施している輸送テストの手順のご紹介
こんにちは、品質管理の辛嶋です。
皆さまの会社では輸送テスト検証はどのようにされておりますでしょうか?
化粧品などの商品を作成されるのであれば、JIS規格での落下試験や振動試験の実施を第三者機関に委託して検証されるケースが多いと思います。
しかし、店頭販促物の場合は、商品と同じようなコストをかけて検証する予算は掛けられない上に、スケジュールに余裕が無い為、時間のかかる第三者機関での検証が行えない場合がほとんどです。
弊社の場合は、長年のノウハウを活かし、販促物の形状に応じた定番の梱包方法が確立されています。その為、カウンター什器や吊り下げ什器等、ほとんどの販促物の場合は安全に輸送する梱包を短時間で設計可能です。ただ、この定番の梱包方法の場合でも、下記の様な簡易テストを行い、問題が無いか検証しています。
- ①上下に10秒間振る
- ②左右に10秒間振る
- ③外装ケースを数回転させるように3回転がす
この簡易テストで、中の販促物にへこみや傷などの変形が無いか確かめて、量産分の梱包箱を作成していきます。
ただし、お客様からお預かりした商品を販促物と同梱する、いわゆる流通加工などの案件では、簡易テストだけで終わらずに、必ず輸送テストを実施しています。弊社が輸送テストを実施する条件は下記の通りです。
- 物流加工/流通加工(※販促物に商品同梱を行う案件)
- 1個箱梱包の販促物(※フロアディスプレイなどの大型の販促物)
- カスタムを行ったメカ製品
- アクリル製品
- その他取扱いに注意が必要な材質・形状の物
これらの商品の場合、それぞれの形状に応じて、梱包ケースや商品を抑えるゲスパットなどを設計し、最適な梱包形態を試作します。完成した梱包試作を使って輸送テストを実施します。
弊社の輸送テスト方法は、下記の通りです。
- 東京⇔大阪間の 1往復を指定の路線便会社で出荷を行う。
この輸送テストで路線便の会社を指定しているのは、この会社がBtoB商品の取り扱いが多く、荷扱いが荒い傾向にあるので、この輸送テストをクリアできていれば問題がないという意味で、あえて過酷なテスト環境として選定しております。輸送テスト実施後、外装ケース・販促物・商品・アテンションシールなどに、凹みや傷、破れ等が発生していないか確認を行います。もしこの時に商品や什器に破損が見られるようであれば、販促物や商品を押さえるゲス(パット)等を改良し、破損が起きにくい仕様に修正を行っていきます。
輸送テストの重要性
最後に、輸送テストを実施する重要性として、テストを実施することで発見することが出来た什器の不良例をご紹介させて頂きます。
このディスプレイ什器の案件では、アクリルなどの部材をネジとナットで締めることで固定する仕様になっていました。この什器の作成時には、適切なトルクでしっかりと締め付けて固定されており、緩んでいる箇所は無い状態となっていました。
しかし、輸送テストとして東京から大阪に片道輸送を行った段階で、ネジが緩んで取れてしまっていることを発見しました。
この梱包不良の原因は、強く締めたネジは緩まないという思い込みが原因で発生した不良です。ネジ締め加工は振動で簡単に緩んでいく為、ワッシャーをかませたり、緩み止め剤で固定させたりする必要があることはモノづくりの常識的なところではありますが、この事例では社内の品質管理や開発部に仕様の確認を行わなかった為にネジが外れてしまったという現象が発生してしましました。幸い、輸送テストで発見することが出来た為、量産前に適切に処理する事で解決できました。
この事例のように、試験機関に依頼しなくても東京⇔大阪間の1往復でも破損傾向は発見できます。
東具では、より良い販促物を作成するためにも、形状や材質に合わせた梱包箱の設計と、輸送テストの実施によるトラブルの事前の発見を行い、お客様に安心して頂けるように安全な商品輸送のノウハウを蓄積していっております。
商品同梱の販促物を検討されているお客様がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
今回、ご紹介させて頂きました内容は、弊社独自基準になりますので、
また機会がありましたら皆さま方とどのような品質基準が適切なのか意見交換もできればと思っています。