2022.12.13販促・マーケティング
ビッグヒットにつながるポジショニングの考え方
こんにちは、開発チームの加藤です。
今回もマーケティング調査についてご紹介します。
第二回は「製品のポジショニング」です。
■ ポジショニングをするメリットとは
マーケティングのポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品やサービス、ブランドについて独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動です。
・効果的なポジショニングをすることで市場で優位な立場になる
競合企業との差別化を図り、ユーザーにとっての「オンリーワン」の位置づけを実現できれば、マーケティング全体の費用対効果も格段に上がります。
例えば、「チョコレートはA社の製品でなければダメ」「醤油を購入する際はB社の製品と決めている」というように、消費者の中に絶対にこれだという「オンリーワン」の製品であることを認識付けられると、市場の中でも優位になりビッグヒットを生み出すかもしれません。
・新市場の開拓ができる
ポジショニングの方法によっては今までにない市場を作りだすことも可能です。発売から何年も経った製品でも、違う角度からポジショニングすることで新たな市場を開拓することができます。
■ ポジショニングの方法
まず自社ブランドのユーザーの属性を分析し、ターゲット属性を決めてポジショニングを行っていきます。ユーザーにとって「オンリーワン」になるためのポジショニングなので、ユーザーから見たときにそのポイントが差別化されている、差別化することができるかが大切です。
・ポジショニングステートメントとは
企業がその商品・サービスのポジションを明確に文章で表したものがポジショニングステートメントです。
「誰のために、どの分野・カテゴリーで、ユーザーにどんなベネフィットをもたらせるのか?なぜならこのような支持される点があるから」と定義します。
例えば、グリコ クラッツのポジショニングステートメントを作ると次のようになります。
To : 自宅でビールを飲む人のための
is the : おつまみになるお菓子ブランド
that : ビールに合うおつまみでお酒がすすむ
because : ビールのおつまみという点を重視した開発で、次々と新味もでるので飽きない。ビール好きが選んだおつまみランキングでもトップにくる
・ポジショニングマップを作る
他社と差別化できるポイントを探るために作成するのがポジショニングマップです。
縦軸と横軸に何を置くか、それによってポジションが大きく変わります。
例えば…
グリコ チーザをポジショニングマップに位置付けたときにどのようになるでしょう?
ポジショニングマップ① ”お菓子”セグメントでのマップ
縦軸:甘い・辛い
横軸:オフィス・自宅
このポジショニングマップ①ではチーザは自宅の辛い系の位置にいます。
近くにはじゃがりこやポテトチップスといった競合が位置します。その他、競合スナック菓子が多くある位置になります。
ポジショニングマップ② ”おつまみ”セグメントでのマップ
縦軸:甘い・辛い
横軸:ワイン・ビール
この②のポジショニングマップではチーザはワインに合う辛い系の位置になります。
近くに位置するのはチーズや生ハムなどの冷蔵食品で、常温保存ができる製品はありません。
チーザは今までに市場がなかった「ワインに合う常温保存できる辛い系おつまみ製品」という空白地帯に向けて開発され、しっかりポジショニングすることで、成功した製品です。
・ポジショニングマップの設定で「オンリーワン」になる
このように、①と②で横軸を変えるだけで市場の見方が変わります。
既存の製品でも、縦軸と横軸を何で測るか、うまく設定することによって、「オンリーワン」になることが可能です。
また、縦軸と横軸を変えて、再度ポジショニングしたことで、復活した商品も多々あります。
*各製品は著者の嗜好で判断しポジショニングマップに位置付けしています。実際にポジショニングマップを作るときは製品分析、市場分析をしっかり行ってください。
■ポジショニングマップではいろいろなことが読み取れる
上記以外でも、これらから読み取れることはいろいろとあります。有益な情報、不利な情報、いろいろなことが見えてくるでしょう。
ポジショニングマップ① ”お菓子”セグメントでのマップ
・オフィス系の製品は、仕事前や昼休みにオフィス近くのコンビニなどでの購入が想定される。
・自宅系の製品は、食品を買いに行く住宅街のスーパーや帰宅途中の購入が想定される。
【戦略】
・チーザは自宅系の製品に位置付けられているので、住宅地近郊の食料品スーパーや、住宅地の駅の近くにあるコンビニで販売しよう。
・じゃがりこやポテトチップスが競合になってくる、そこでは優位性は見いだせないかもしれない。
・では逆に競合の少ない「オフィスで食べる」ものとして新しい商品を開発しよう。
…となるかもしれません。
ポジショニングマップ② ”おつまみ”セグメントでのマップ
・ビールに合う甘い系が空白地帯となっている。
【戦略】
・多くの人が「ビールのおつまみに甘いものは合わないと」と考えていて需要がなく、どこも参入せず(参入しても市場浸透させ売り上げを伸ばせず)空白地帯となっているのかもしれない。
・もし、人々の価値観が変わり、ここに需要ができれば、消費者の「オンリーワン」になれる大きなチャンスになるかも。
・今後の戦略として、この位置に来る製品開発も考えておこう。
…となるかもしれません。
■ そのポジショニングは正しいのか
ポジショニングマップで位置づけしてみたが、その位置で正しいのだろうか?と思うことがあるかもしれません。以下、それを検証する調査をご紹介します。
模擬店舗などでのアイトラッキング調査
実際の売り場を模した会場で、視線確認ができる「アイトラッキング」の機械を被験者(消費者)につけ、視線の動きを見ます。
定義したポジションの売り場に置いたときに、消費者の目にとまるか?周囲の競合に負けないか?被験者(消費者)の視線をたどって調べていきます。
その後、インタビューなどでショッパーインサイト(消費者の深層心理)をとり、深堀をしていきます。
そうすることで、より消費者の店頭での購買心理を探ることができます。
アイトラッキング調査でその商品がその場所に置いて売られていることを受け入れる結果になれば、そのポジショニングは正しいと言えます。逆の結果(アイトラッキング調査で被験者の視線が商品をとらえなかったなど)の場合は、そのポジショニングでは他の商品に埋もれる、その売り場では認識されないなど、ボトルネックとなる何かがあると考えられます。
ポジショニングのPDCA
ポジショニングをした位置で消費者にきちんと製品ベネフィットを訴求し、認知され、手に取り、購入されるのか。
再度ポジショニングをして、売り場が変わったとき、パッケージを変えた時、消費者にはどのように移るのだろうか。今までのユーザーは離れないか?新規ユーザー獲得につながるか?
店頭展開前に、模擬店舗などでアイトラッキングを使用しインタビュー調査することで、ポジショニングの確認が行えます。その結果次第では再ポジショニングなどが必要になってくるかもしれません。
このように、ポジショニングは仮説のようなものから始まるので、作って終わるのではなく、実証実験などを経て確信となるようにPDCAを行っていくことが重要です。
■ まとめ
ポジショニング戦略とは、自社商品を消費者に「オンリーワン」の製品として認知していただくことを目指した戦略です。他社製品と「戦わずに勝つ」といった優位なポジショニング戦略を取ることができるのが理想です。
市場は日々、変化していきます。今まで競合が多く競争が激しかった市場でも、何かをきっかけに競合が消え、「オンリーワン」になることも、逆に、「オンリーワン」であった市場に競合が参入し「オンリーワン」ではなくなることもあります。環境が変わればポジションも変わります。
そのため、常に、現在置かれているポジションを把握し、有利になるポジションを探すために、再度のポジショニング作業は必要になります。
【余談】私のおススメPOPツール
今晩飲むのはどのお酒にしようかな?どのお菓子をおつまみにしようかな?でもお店では売り場が離れていることも度々。お酒を選んでお菓子売り場に移動は面倒くさいー
そんな時に吊り下げポップでおつまみになるお菓子が引っかかっていたらついつい手に取ってそのままレジへ。
売り込まなくても売れやすい体制、ついで買いしてしまう陳列には?