2025.07.15社長コラム
展示会はチャンスや!
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
今年の近畿地方は6月に梅雨明けを発表するという異常な気象状況で、日中の気温も体温を超え生命を脅かすほどです。身近なところで熱中症も頻発しております。仕事で高いパフォーマンスを出すためにも、しっかり対策をしていきたいと思います。
さて、弊社東具の子会社で「東具PLAS」という会社があるのですが、ご存知でない方もいらっしゃると思いますので簡単に東具PLASについて述べさせていただきます。
東具が店頭販促パーツを主に取り扱っていた頃に、自社内でポスター用の吊り下げパーツを製造しようということで2002年に事業部として立ち上げたのが東具PLAS(所在地:東大阪市)です。
おもな事業は、ABS樹脂をはじめあらゆる樹脂製品を「押出成形」という製法で製造することです。つまり、ものづくりの町東大阪発の「プラスチックの押出成形屋」です。
ちなみに「PLAS」は「PLASTIC」すなわちプラスチックから名付けましたので「PLUS」ではありません。
その後別会社として独立しましたが、売り上げのほとんどが親会社である東具からのものでした。
そして世の中が脱プラの意識を持ちだし、店頭販促でのプラスチックパーツの需要も減り、親会社の仕事だけでは事業が立ち行かなくなりました。それゆえに東具以外の取引先を増やしました。そして業績は一時持ち直しましたが、コロナ禍を境に仕事量は格段に減少し、いろいろなチャレンジをしましたが売り上げは安定することはありませんでした。
そこで根本的に事業を見直そうと思い、世の中のニーズを知るのと我々の得意なことを活かせることは何なのかを探るために、大阪に留まらず東京の展示会に出展することを決めました。
それを決意したのが今年の5月12日。直近で出展できる東京の展示会を探したところ、7月2日~4日の3日間東京ビッグサイトで開催の「雑貨EXPO」を見つけ、すぐ主催社に問い合わせをして翌日にオンラインで打ち合わせをして出展申し込みをいたしました。出展申し込み受付期日ギリギリで滑り込みましたので、計画も無くどのような展示をして、どうアピールするか全く考えられていませんでした。
東具PLASのアピールポイントとしては、自社内で押出成形の金型製作が可能で、そのまま自社内で製造できることです。つまり、企画からサンプル出し、量産までが非常にスピーディなのです。
そして、そのことを表現するために展示会用の配布サンプルを企画から金型製作、製品製造までを3日でやりきりました。
その製品のネーミングと紹介ポスターを東具の東京支店のデザイナーにお願いをしましたが、ものすごくお客様受けの良いものができました。展示ブースの施工や展示会当日の対応スタッフとして東具東京支店の社員にも協力してもらい、大阪からも協力会社の方が来て手伝っていただくなど様々な人の協力があり、無事に3日間の展示会を全うすることができました。
今回、展示会の出展に関わったことで東具の原点に返ることができました。東具が健全に経営できているのは新規顧客を継続的に獲得しているからです。
いまでこそマーケティングオートメーションなどを活用した新規顧客獲得へのアプローチもしていますが、リアルの展示会実施における我々の気持ちの入り方や、付加価値は計り知れないものがあります。
実は今回の展示会においてアクシデントもありました。それは、当社の出展ブースのエリアが海外の出展社エリアに埋もれてしまっており、なおかつルート的に来場者がほとんど通らない状態でした。
1日目を終えたところで展示会主催者に当社の展示ブースの移動をお願いしたところ、前代未聞とのことで交渉は難航しましたが、結果的にはものすごく良い場所に移らせていただくことができました。2日目の朝から大慌てで展示品の移動を行いました。もとのブースの壁に貼られているカッティングシートの社名ロゴを切り取り、新しい場所に貼り付けるなど手間は掛かりましたが、その分いろいろな意味で気合も入りました。
こんなこともあるということを考えると、いまの私があるのは展示会で培ったものが多いと感じております。
アクシデント時の臨機応変な動きや、期間限定のビジネスチャンスを逃さない決意、自分次第で違った結果になるという責任感を持つこと、などがあげられます。
ちなみに、いくつかの海外出展社は、閉会30分前には片付け始めるなどし、時間内に撤退することに重点をおいているようで、展示品や装飾のゴミ化したものを分別もせずゴミ置き場に放置するなど我々との価値観の違いを目の当たりにしました。
このように、展示会で得られるものは本来の目的である顧客獲得や情報収集のほか多大にあります。私がそう思うのも私が東具に入社したころ、展示会のブースの企画から接客まで全てをこなしていた創業者の久米会長の教えがあったからです。
マンパワーでやり切らなければいけないこと、協力していただいた人への感謝の心、そして最後まであきらめないこと。
「展示会はチャンスや!」… 当時の久米会長の言葉が私には深く刻み込まれています。