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2025.04.09社長コラム

時代遅れ

株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。

世界はアメリカのトランプ大統領による相互関税に話題が集まっていますが、日本国内でも食品で4000品目以上の値上げや、物価高騰に伴わない労働賃金の値上げ問題など、市民を苦しめる問題はたくさんあります。
この現状は経済をより良く回すための手段の一つなのでしょうから、決して自分たちだけが良ければいいなどという考えで行っている施策ではないと信じたいものです。 

さて、中小企業の経営者の一人である私の、ここ数年の気になる話題はといいますと、政府と産業界、金融界の掲げている「2026年度末(2027年3月31日)までに約束手形の利用廃止に向けた取組」です。 
(※当座勘定から支払目的とした手形の振出期限を2026年9月30日とし、期限以降に振出された手形は当座勘定からの支払ができないものとする。) 

経済産業省の告知によると、受注企業に対して手形支払いをしている企業は、原則現金による支払をするよう促しています。その理由として、ペーパーレスによるDX化や印紙の費用節約などもあるでしょう。私は何よりも約束手形の利用廃止が健全な支払による資金繰りの安定化につながると期待しています。先ほどの告知の一文にも「資金繰りのしわ寄せを防止し、受注企業ができる限り早く現金を受領できるようにするためには、現金による支払いが大原則となります。サプライチェーン全体で現金払いが進むよう、業界横断的に取組を進めていくことが重要です。まずは自社における受注側企業に対する支払方法の見直しをお願いします。」とあります。 
 
そもそも手形支払いの文化は大昔のものであり、現代まで残っていること自体理解に苦しみます。とはいえ、弊社も手形支払いをしていた時代がありました。
しかし弊社の前社長は「支払いを先延ばしすることで自分の首を絞めることになる」ということと、何より「協力会社の方々に迷惑を掛けるわけにはいかない」ということで、私が社長に就任する代替わりの時には一切の手形支払いを廃止しておりました。私は前社長による、商売をしやすくするための配慮に感謝し、その報いに応えるためにも手形支払いをされているお客様に対して、現金支払いのお願いに回っておりました。
現金での支払いに応じていただけたお客様もいましたが、応じていただけないお客様もいました。応じていただけないお客様の中には、資金繰りに困難というわけではないのに、「今までこれでやってきたから」「他の取引先もこれで受けてもらっているから」という理由のよくわからない答えでした。 
 
実際、日本の手形支払いは江戸時代からといわれていますが、当時の商習慣として掛け取引が一般的であり、支払いを先の期日にすることで支払いまでに余裕ができキャッシュフローが合理的だったとされています。大手取引先との力関係からやむなく手形取引を許容しているケースが多いのも実態です。支払う側は合理的だったかもしれませんが、受け取る側は資金に余裕がなければ現金化されるまでに破綻してしまうかもしれません。破綻を免れるためには現金化される期日前に割引手数料を支払ってでも現金化することもあります。 
また、その手形を振出した側が破綻してしまった場合、受け取った手形はただの紙切れに変わり、事前に割引手数料を支払って現金化したものは返さなければならないのですから、手形を受け取るということのリスクは考えずにはいられないのです。 
その手形支払いが廃止される動きにあることは、商売をするうえではとても健全で余計なリスクを抱えなくてよくビジネスに注力できる要素になります。 
 
世の中の動きもあり、ここ数年で手形支払いを取りやめている企業も増えてきました。 それが、「でんさい」や「ファクタリング」といった形に変わっただけのものもありますが、現金支払いに変わったところも多くなっています。
しかし、中には「手形の支払いを現金支払いに替えるが歩引きをして支払う」という企業もあります。 
手形を受け取った場合、期日前に割引手数料を支払って現金化するのと同じという意味で歩引きをするということなのでしょうか? 意図が理解できないので公正取引委員会にこの事案について電話で質問をしたところ、「歩引き支払いは違法である」という返答をいただきました。お互いの契約上で納得すればよいという考え方もあるのでしょうが、違法なことをしてまでビジネスをする意味があるのでしょうか? 
ビジネスが健全に行われるように下請法や独占禁止法などというものがあります。その法の網を搔い潜って成功していると思っている人も世の中にはいるらしいですが、それは「時代遅れ」だと私は思います。 
 
世の中で生きていくために、一生懸命まじめに仕事に向き合っている人がいる傍ら、権力や立場を乱用してしまっている人もいます。
「何がいまの時代で正しいことなのか」 各々が考えて様々な問題を乗り越えられように動けば、世界は良くなると信じたいです。

投稿者

清水 貴義

代表取締役社長

清水 貴義

東京支店長、専務取締役を経て平成22年3月に代表取締役社長に就任。

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