こんにちは、開発チームの加藤です。
今回もマーケティング調査についてご紹介します。
第四回は「CRM カスタマーリレーションシップマネジメント」です。
次々と新しい製品やサービスが市場に導入され、圧倒的なスピードで情報拡散される現在では、新規獲得した顧客を繋ぎとめることが難しく、他の製品に乗り換えるスイッチングが起き、顧客が離れていきます。そうならないために、正しいCRM(Customer Relationship Management)を行い顧客と良好な関係を築き、自社に繋ぎとめる必要があります。
■そもそもCRMとは何か?
ロイヤルカスタマーを作るにはCRM(Customer Relationship Management)が大切と言われていますが、CRMとは具体的に何を意味するのでしょうか?
CRMは顧客管理だけでなく、ユーザーとの関係を強くすることにより、顧客満足度を高めるマネジメント手法を意味します。ユーザーと様々な接点を持つことで、日常的に自社を想起させ、ブランドの理解度・好感度・信頼度を高めていきます。「CRM」とネット検索すると様々なCRMデジタルツールのシステムサービスが出てきますが、システムはCRMの手段であり、目的はユーザーと良好な関係を築きそれを維持管理していくことです。
CRMの方法には、DMを送る、購入履歴からおススメを知らせる、ポイントプログラムを実施するなど様々な方法があります。
例えば、オンラインスーパーと商店街の八百屋のCRMを比べてみましょう。
オンラインスーパー | 商店街の八百屋 |
---|---|
定期的にDMを送りユーザーと接触 | 店頭に立ち、前を通る人にあいさつなど声掛け |
アプリなどで今日のおススメ野菜やそれらを使ってのレシピを紹介。 | 店主がお客を見て、その日のおススメ野菜や、それを使った料理方法を紹介。 |
ポイントプログラムやクーポンを発行。 | 顔なじみになると割引したり、おまけをつけたりする。 |
問い合わせはFAQやコールセンター、チャット。 | 店主に直接相談に来る。 |
データベースでの顧客管理。 | 台帳と店主の頭の中で顧客管理。 |
ネットの掲示板などのコミュニティサイトでユーザー同士がつながる。 | 店頭などでお客同士が顔を合わせ、同じお店を使っているという仲間意識が生まれる。 |
両者の手段はデジタルとアナログで異なりますが、目的は同じ顧客との繋がりを強化しロイヤルカスタマー化させることです。
かけられる予算や規模や業種により手法は異なりますし、必ずしもそれはCRMデジタルツールなどを使用するわけではありません。
逆に最先端のCRMデジタルツールを利用しても、目的に合った正しいCRMを行えなければ意味がありません。
ただデジタルとアナログの大きな違いは、CRMを行う人間が変わっても顧客との関係性を保てるかどうかにあります。
商店街の八百屋の場合、店主の感覚で行っている部分が多く、店主がいなくなると、店主が行っていたサービスを行えず、それまで築いた顧客との関係がなくなる可能性があります。一方、オンラインスーパーの場合は、データベースが消えない限り、オンラインスーパー側のスタッフが入れ替わっても顧客との関係性はほとんど変わらないでしょう。
■CRMデジタルツールを使う上で重要なことは?
常に最新で正確なデータベースを保つことが一番重要です。
どれだけシステムが優れていても、元となる顧客データベースが古いと意味がありません。新しく正確なデータをCRMデジタルツールで一元管理することで、リアルタイムの情報を共有し、顧客への最適なフォローが可能になり、良好な関係を築いていけます。
データの更新も、販売スタッフや営業スタッフが行う場合や、顧客自身が行う場合など様々でしょう。販売スタッフや営業スタッフが行う場合は、社内でデータベースの更新が重要なことを徹底周知させ、新しい情報を得たら速やかに更新するように習慣づける必要があります。また、顧客自身に行ってもらう場合は、「登録情報更新キャンペーン」などを行い、データ更新を促したり、データ更新をすることで顧客にメリットが生じると感じさせたりすることが必要になるかもしれません。
■デジタルになったからこその落とし穴
現在市場に出ているCRMデジタルツールでは、自動で顧客をセグメント分けしてメールを送ったり、顧客の行動分析をしたり、問い合わせ管理をしてくれたりと、多くのことを自動で行ってくれます。そのため、今まで、顧客一人一人に対して電話で案内していたものが、自動で一斉メールを送って案内するようになるなど、企業と顧客が直接触れる機会が少なくなります。デジタルツールを使い自動化すると、自社のCRMが正しいのか、営業や販売スタッフが顧客の反応を感じながら各自で調整していたアナログな微調整ができなくなります。便利な反面、より細やかな管理を行わなければ、顧客側からはロボット的で冷たく感じるかもしれません。
顧客の側から見て、自社のCRMが快適で良好なものか、常に考える必要があるでしょう。
■正しいCRMがもたらすもの、ロイヤルカスタマー
正しいCRMで新規獲得した顧客と良好な関係を築けると、その顧客はロイヤルカスタマーになる可能性があります。
ロイヤルカスタマー=「忠誠心が高い顧客」になると、単に自社の製品やサービスを購入するということだけではなく、他社を利用することなく何度も自社の製品やサービスを利用してくれます。
また、ロイヤルカスタマーは、特定の企業やブランドと取引を始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)内にどれくらい利益をもたらすのかを算出した数値であるLTV(Life Time Value)が高いといわれています。ロイヤルカスタマーが多いほど、その企業やブランドは利益を伸ばせる可能性が高くなります。つまり、個人商店から世界的なブランドまで、長くビジネスを成功させる秘訣の1つはロイヤルカスタマーの割合を上げることと言えるでしょう。
さらにロイヤルカスタマーの中でも、熱狂的なファンになると、知人に製品やサービスの内容やメリットを紹介し、新規顧客を連れてきてくれる可能性があります。
口コミは何よりの宣伝広告になります。人は、マスメディアなどから得る情報以上に、周りの知り合いから得る情報に信頼を置きます。例えば、2種類の洗剤でどちらを購入するか迷っているとき「あのママ友がこれを使って良いって言っていたので多分良い製品だろう、買ってみよう」というように、製品購入時の最終的な判断材料に用いられることも多いでしょう。
優秀なロイヤルカスタマーはコストをかけ広告宣伝をする部分を無償で担ってくれることに加え、コストをかけても売り手側では難しいことも担ってくれます。
■まとめ
CRMは江戸の商人も行っていたことです。それが、徐々にシステム化され、デジタル管理できるようになりました。しかし根本は「顧客との良好な関係を維持する」ということです。テクノロジーの発展と共に、使用するツールは変わっていきます。デジタル、アナログに限らずより自社のCRMの目的に合ったツールを使用することが大切です。
【余談】私のおススメPOPツール
SDGsが求められる中、環境配慮した素材は注目です。私も消費者の立場で製品を選ぶときに、やはり、環境への配慮は気になるところ!大きなことはできなくても、小さなことから。