2023.09.13経営のレジリエンス
災害対策マニュアルの作成
災害対策マニュアルの必要性
万が一のリスクに備える
近年、日本のみならず、世界中で、豪雨や洪水、干ばつ、山火事、地震など甚大な被害をもたらす自然災害が多発しています。
日本でも、毎年、大雨や台風の被害が各地で起きています。また、政府の地震調査委員会は、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に「70%から80%」の確率で発生すると予測しています。
いざ、大災害が起きると、どのような行動をとるべきか、何を優先するべきか、冷静に判断をする必要があります。それは個人レベルから企業などの大きな組織レベルまで同様です。
もし、正しい判断ができない場合、二次災害を起こすこともあり得ます。
そのような万が一に備え、企業や組織は災害対策マニュアルの準備をしておくことが重要になってきます。個人でも、もしもの時にどのような行動をとるか、何を優先するべきかなど、家族や友人、近所の人などを交え考えておくことは重要です。
労働者の安全への配慮
企業は従業員の安全配慮義務を負っています。
*労働契約法 第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
従業員を雇用し使用する者は、労働者の安全を確保するのに必要な配慮をしなければなりません。この安全配慮義務は、災害などが起きた非常時でも適用される可能性があります。
自助の必要性
大災害が起きた場合、あらゆる場所で救助が必要になるため、消防や救急がすぐに来ることはありません。ほとんどの場合は、公助ではなく自助で乗り切ることが必要になります。
そのため、普段から、災害対策マニュアルの作成や、災害備蓄、防災訓練など、自助を確かにする必要があります。
災害対策マニュアルの作成
弊社は、現在、大阪本社、東京支店、福岡支店、物流センターの4拠点で営業を行っております。
拠点ごとに規模や環境が異なるため、各拠点ごとの災害対策マニュアルを作成しています。
近年、自然災害が多発していることもあり、いつどこで、急な災害が起きるかもしれません。災害対策マニュアルを作成することで、もしもの時の行動指針にすして、会社として迅速な行動を起こすことが可能です。
弊社はマニュアル作成の際に、愛知県の事業者用防災マニュアルを参考にしました。
こちらには、防災マニュアル作成の手引きの他に作成例も掲載されています。(↓URLをクリックするとワードファイルがダウンロードされます。)
ここからは、災害対策マニュアルの内容をご紹介いたします。
基本方針
まず基本方針を定めます。
人命の保護や、事業継続、地域への協力など多角的に考え、基本方針を作成します。
愛知県 事業所のためのマニュアルの作成例では、下記のようになっています。
・第1に、人命の保護を最優先する。
・第2に、資産を保護し、業務の早期復旧を図る。
・第3に、余力がある場合には近隣事業所への協力に当たる。
災害時における組織体制
実際にどのような災害が起きたときに、どこに、組織(防災対策室)を設置するか、また、その際の必要機材や任務を定めます。
防災対策室の組織内容も決めておくことで、災害時の指示系統が明確になり、組織の行動が統一されます。
また、行わなければならない任務を明記することで、「いざというと時に、何をしなければいけないのかわからない」と混乱することなく、正確に行動をとることができます。
緊急連絡網
社員の安否確認や緊急動員のための連絡網を定めます。
組織が大きくなるほど、社員全員と連絡をとるのが難しくなります。東具では組織図に沿った連絡網を作成し、災害発生時には、連絡をとりあうことになっています。
連絡方法は電話のほか、メールや社内用のオンライン掲示板など、電話回線やネット回線など複数の方法でとれるように検討しています。
情報の収集と提供
社員の安否確認や建物や設備の被害状況、ライフラインなどの状況把握のために情報収集を行う責任者を定めます。
状況に応じて、従業員を帰宅させる必要や、逆に帰宅は危険だと判断した場合は会社に待機させる必要があるため、関係防災情報の収集や従業員の帰宅路の状況把握も必要になります。
近年、大雨や台風のように事前に予測できる自然災害の場合は、鉄道各社が計画運休を告知し突然の運休は少なくなりましたが、地上を走る路線と地下を走る路線で状況が異なることが多々あります。また、都市部と郊外でも異なります。各従業員に対して適した判断を行うために、会社周辺のみだけではなく、従業員の居住エリア周辺の情報収集も必要です。
応急救護・初期消火・避難等
けが人が出た場合の応急救護や火災時の初期消火、避難や帰宅計画などについて定めます。
避難場所は、火災や、洪水・高潮、地震など、災害の種類により異なるため、それぞれのケースで避難場所の設定は必要です。
ハザードマップポータルサイトでは「重ねるハザードマップ」や「わがまちハザードマップ」で洪水や津波などでの予想水位や土砂崩れの危険性を確認することができます。避難場所の設定の際には、必ず、ハザードマップでその場所が安全で適しているのかを確認し検討する必要があります。
復旧対策
復旧着手までの大まかな流れを定めます。
事業継続のためには、早期復旧が不可欠です。そのためのワークフローを作成することで、災害後、各自がするべきことが把握でき、スムーズに復旧活動ができます。
災害予防対策
事務所などの建物の耐震強化や、重要書類や非常用備品の管理について定めます。
特に、非常用の飲料や食料は賞味期限に気を付けながら適切な保管が必要です。
東具では9月1日に非常用備品の数量や保存状態を確認し災害対策室長に報告するとしています。
東具物流センターでは、保存水やアルファ化米、乾パンなど、毛布や歯ブラシなどの生活用品やインスタントトイレなど、50人が3日間生活することができる量を備えています。
他の拠点では、スペースの問題もあり、現在は、保存水と非常用トイレの備蓄を行っています。今後、食料などをどの程度備蓄していくのかが課題です。
防災訓練・防災教育
年1回以上の防災訓練や防災教育を行うことを定めています。
大阪本社で行っている防災訓練では、火災を想定し、避難や消火器の使用について学びます。
災害対策マニュアルの見直し
災害対策マニュアルは一度作成すると終わりではなく、見直しを行い、修正していくことが大切です。
実際に運用してみてわかる不備や不足の他にも、社内や周りの環境の変化による変更などもあります。また、災害対策マニュアルを見直すことで防災意識も高まります。