2020.10.08社長コラム
大きな問題に向き合う
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
ところで「大阪都構想」というものをご存知ですか? 大阪市民だけではなく他の都道府県にお住いの方でもなんとなくは知っているでしょう。
簡単に説明いたしますと、大阪府と大阪市の統治機構(行政制度)を現在の東京都が採用している「都区制度」というものに変更するという構想です。おもに大阪市を廃止し、複数の「特別区」に分割すると同時に、それまで大阪市が所持していた種々の財源・行政権を大阪府に譲渡し、残された財源・行政権を複数の「特別区」に分割するということが一般的に周知されている内容です。つまり府市を一元化することにより二重行政を解消し、広域行政と基礎自治体の行政の機能を分化し整理することで、大きな方向性はよりスムーズに遂行され、地域の身近な問題に関してはそれぞれの地域に寄り添った対応をするというのが狙いのようです。これによるメリットとデメリットなど細かいことは大阪市のホームページに掲載されていますので、今年の11月1日に控えている住民投票の有権者でこの政策がいまひとつ理解されていない方は特に目を通しておく必要があるでしょう。
この件で私は気になっていることがございまして、それが何かと申しますと今回の都構想の是非を問う住民投票は、日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民224万人が対象だということです。前回2015年に実施された住民投票の時は否決の雰囲気が濃厚だった為、さほど気にはしていなかったのですが、今回は前回とは違った雰囲気でコロナ禍ということもあり大きな関心事になっています。しかし私自身は大阪市民ではないので投票権が無いのです。
何が言いたいかと申しますと、都構想の可否で影響が及ぶ大阪市にある法人には投票権が無いということです。ちなみに現在大阪市には事業所数は20万ほどあり、従業者数は220万人ほどいるようです。私どもの会社は30年以上に亘り大阪市に本社を置き、納税もしてきました。投票権が無いことに疑問を抱き、大阪市役所に電話で問い合わせをしてみました。対応していただいた方は非常に丁寧に説明してくれました。要するに以前の大阪市長が特別区に関しての協議書を提出し、それが2012年に大都市地域における特別区の設置に関する法律に制定されたことで、総務省による決定事項だそうです。その協議書に「住民投票で過半数の賛成を経たうえで」という文言があったためという単純なものです。
この件に関して、問題視する大阪市の法人や従業者からの署名活動が起こらなかったということと、住民投票の実施日が先日の9月3日という最近になって議決されたということで、1~2ヶ月という短い期間ではどうしようもないというのが現実とのことです。お話していただいた大阪市役所の方も私の疑問には同感と仰っていただきましたが、結果的に何も変えられないことは残念に感じました。世の中には大きな問題は国や組織が決定して遂行することと思われがちですが、実際は私たち小さな法人や個人に影響が及ぶことばかりです。都構想が実現されるかどうかということも気になりますが、大阪市に関わる私たちがこれからどう向き合っていくかが大切だと思います。疑問を解消し理解を深め、自分たちが納得する生活を送りたいものです。