こんにちは、開発チームの加藤です。
今回もマーケティング調査についてご紹介します。
第三回は「カスタマージャーニー」です。
■カスタマージャーニーを知るメリット
消費者が商品・サービスを購入する際に「欲しい」と思った最初のきっかけから、購入に至るまで(場合により、購入後の利用や情報拡散まで)の消費者の行動や心理を旅(ジャーニー)のプロセスに見立てることです。その際に、消費者の行動だけでなく、感情や消費者と売り手のタッチポイント、売り手側の施策なども関連付けて考えていきます。
消費者がどのように製品やサービスに出会い、購入し、ユーザーになるかを可視化することにより、各過程にある何が消費者のトリガー(引き起こすきっかけ)やボトルネック(障壁)になっているのかを知り、マーケティングの施策に役立てることができます。
■カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーを可視化し描いた図をカスタマージャーニーマップと呼びます。ターゲットとなる消費者のユーザーペルソナと、マップのスタートとゴールを設定し、その間にある過程を洗い出し埋めていきます。消費者の心理が変化したポイントやその要因、売り手側とのタッチポイントなどを時間軸に沿って整理していきます。いろいろなサイトにテンプレートが紹介されていますので、それらを応用することもできますし、時間軸を1本引き、そこに書き込みオリジナルのマップを作成することもできます。
ユーザーのペルソナについてはこちらのコラムをご参考ください。
「ユーザーを知りニーズを知る「ユーザーのペルソナ化」とは」
下記のインタビュー調査などは、消費者と一緒にカスタマージャーニーを体験し深層心理を探るときに使う手法の一つです。
・エスノグラフィー調査(行動観察調査)
消費者であるインタビュー対象者の生活に調査員が身を置いて、普段、消費者がどのように商品を認知して、情報収集をし、行動に移していくのか、を観察する調査です。一人の対象者に1日から数日、調査員が密着します。対象者と一緒に行動することで、対象者が行動を起こす瞬間をとらえ、その場で深層心理を探るための質問を行うことができます。そうすることで、より消費者行動を深く知れます。その中で、どこでどのような情報に触れ、何に興味を示し、行動を起こしたかを観察し、カスタマージャーニーを知り、商品・サービスの接点を探ります。
・ショップアロング調査(顧客観察調査)
消費者が店頭でどのように商品を購入するのかを観察する調査です。
消費者であるインタビュー対象者に実際の店舗に行って、買い物をしてもらいます。店頭で買い物客は様々な情報を得て、製品購入の意思決定をします。買い物に同行する形でインタビューすることで、瞬時にリアルの声を聞き出し、深層心理を探ります。
エスノグラフィー調査は質の高いデータの入手が可能ですが、時間や費用もかかり、実際に行う対象者や調査員にも大きな負荷が大きく難しい調査です。ショップアロング調査はエスノグラフィーに比べ時間や費用を抑えられますが、来店より前の行動については調査対象者の記憶をたどって探るしかありません。
■AISASを使ってカスタマージャーニーマップを作る
ではカスタマージャーニーの各フェーズでどのようなことが起きていて、売り手側はどのような戦略を立てられるでしょうか。
電通が提唱した消費者の購買行動モデルの1つ、「AISAS」でたどっていきましょう。スタートは認知、ゴールは情報の共有(情報拡散)とします。
例えばこのようなカスタマーの場合は
商品:スキンケア製品
ターゲットペルソナ:20~30代女性、美容大好き、マスク生活が長くなり最近はお肌がゆらいできている、今年の夏は久しぶりに友達と旅行や音楽フェスに行けて楽しかった、自宅ではTVよりTikTokやインスタグラム、YouTubeを見ている、デパートのコスメ売り場やバラエティストアでコスメやスキンケア製品を見るのが好き、ランチをしながら友達や同僚と美容やファッションについて話すことも楽しみの一つ、おススメポイントに行ったりお気に入り製品にであったときは皆に知ってほしくてSNSにアップしたりすることもある。
①Attention(認知)
最初に製品認知が起きます。消費者は、CM広告や、TV、ネット、SNS、口コミ、店頭など、様々な媒体を通して製品やサービスを知ります。触れる媒体は、性別や属性、生活環境、時代で異なります。認知はただつければいい訳ではありません。ユーザーになる見込みがある消費者に認知をつけなければいけません。
彼女の場合は、普段からSNSに接している時間のほうがTVを見る時間より長そうですので、SNSで製品広告を見たのかもしれません。友達や同僚と美容について話すのでそこで教えてもらったのかもしれません。またはデパートやバラエティストアなどの店頭で認知したのかもしれません。
【戦略】
美容に興味がある20-30代とターゲットを絞りSNSに広告を出す。実際の店舗を回りウィンドウショッピングを楽しむことも多いので、店頭での販促を強化したり、休日に絞り店頭でのイベントを行ったりする。
②Interest(興味関心)
製品の認知ができると、興味関心が起きます。興味関心が起きない場合は、そこで離脱します。消費者は認知がついた時に製品への興味関心度を判断します。この製品やサービスは「自分向けのものだ」と思うことで関心が生まれます。
彼女はどこで興味を持ったのでしょう。美容系インフルエンサーの動画を見て興味を持ったのかもしれません。または、ショッピング中に店頭でパッケージを見て興味を持ったのかもしれません。
【戦略】
「ゆらぎ肌におすすめ」「シミ、そばかす対策」など製品を使うことにより起こるメリットを強く訴求するパッケージにすることでターゲットの目につきやすくする。
ターゲットと同じ属性の美容系インフルエンサーにPRを依頼する。
③Search(情報収集)
興味を持つと、不足している情報を集め自分に必要か不要かの判断を行います。
では彼女に興味関心が起きた場合、情報収集はどのようにするでしょう。SNSに慣れ親しんでいるので、「#」などを使い検索をかけて、トップのほうに上がってきた情報を見るでしょう。友達や同僚に聞くかもしれません。ネット上や口コミの情報だけではなく、実店舗に赴き、製品を手に取ってみたり、テスターを試したりするかもしれません。
【戦略】
SNS上での訴求力を高めるために美容系インフルエンサーとタイアップして製品のPRをしてもらう。
ネット検索で上位に上がるようにSEO対策をする。
店頭では製品以外にテスターを置いたり、サンプルを配ったり、商品を手に取ることをしてもらう。
④Action(購入体験)
製品を購入した後も、何回も繰り返し購入するリピーターと1回のみのトライアルユーザーに分かれます。トライアルユーザーがリピーターになる率が高いほど売り上げが安定し大きくなっていきます。逆にトライアルユーザーで終わる率が高いほど売り上げは不安定になり、新規ユーザーが入ってこなければ売り上げは小さくなります。
スキンケア製品を購入した彼女をリピーターになるきっかけは、次回の割引クーポンやポイント制度かもしれません。店頭購入の際のスタッフ対応かもしれません。または実際に製品を使用した評価かもしれません。
【戦略】
製品購入時に次回の割引クーポンをつける。
定期的にメルマガなどを送る。
購入者限定のアフターフォローイベントを開き、再度の来店を促す。
⑤Share(共有)
リピートユーザーの中でも、その製品を周りに拡散するユーザーは、熱心な製品ファンと言っていいでしょう。売り手側が経費をかけずに宣伝をしてくれる存在です。
もし、彼女が購入したスキンケア製品を気に入り、周りに知ってもらいたいと思ったときどうするでしょうか?友達や同僚だと直接話すかもしれません。SNSにアップするかもしれません。もし、売り手が「#」キャンペーンをしていたら、その「#」をつけてSNSにアップするかもしれません。
【戦略】
SNSで「#」タグキャンペーンを開く。
友達紹介クーポンを送る。
SNSにUPしたくなるような映えるパッケージにする。
まとめ
スタマージャーニーマップでは一連のユーザー行動を俯瞰して見ることができるため、ユーザーが各フェーズで抱えている課題や悩みを可視化することができます。
一度作って終わりではなく、都度更新していく必要はありますが、ユーザーとのタッチポイントやユーザーの態度変容を起こさせるためのトリガーやボトルネックを一つの表で確認できることで、チームとして有効なマーケティング施策に向けて議論ができるベースとしてカスタマージャーニーマップは使えます。
【余談】私のおススメPOPツール
ビューティー製品は店頭で選びたい派。たくさん並んでいる商品の中から選ぶのが大好き。
その中でも、目を引くのはやっぱり、オリジナル什器を使ってコーナーを作っている商品。一目でブランドのイメージが伝わってくる!そして無性にワクワクして買いたくなる!
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