こんにちは、開発チームの加藤です。
今回はマーケティング調査の実務と言える「マーケティングリサーチ」についてご紹介します。
マーケティングリサーチとは、マーケティング課題に対して有効な意思決定をサポートするための調査分析です。
大きく分けると、数値的な統計をもとにマーケットを把握する定量調査、数値では表せない言葉などでユーザー心理を探る定性調査の2種類に分かれます。また、それぞれ、調査手法の違いや、調査の目的などにより、細かく分類されます。このように、マーケティングリサーチでは、様々な調査手法を使い、現況の把握から、未来の市場の動きの予測・分析などを行います。
また、定量調査と定性調査のどちらが優れているなどはありません。マーケティングのステージに合わせて最適な調査を行います。
■ステージに合わせて定量調査と定性調査を組み合わせてマーケティングリサーチを行う
定量調査も定性調査もそれぞれメリットとデメリットがあります。そのため、実際のマーケティングリサーチではマーケティングのステージに合わせて適した調査を行います。
では、どのようなマーケティングリサーチがあるのか、ステージごとに例を見ていきましょう。
*必ずしもこれらが最適な調査手法というわけではありません。商品のカテゴリーや市場の状況により異なります。
・新製品のアイデアを求めるとき
消費者に今何が求められているかを知るために、デプスインタビューなどの定性調査でユーザーのニーズや悩みなどを探ります。白物家電や日用消耗品なら消費者の実生活を知り真のニーズを探るために自宅訪問インタビューを行ってもいいかもしれません。
*デプス(depth=深さ)インタビューとは、1対1の面談式で実施し、対象者の深層心理を探るインタビューです。
*自宅訪問インタビューは、対象者が生活している自宅に赴き、自宅でインタビューを行います。そうすることで、対象者の日常のリアルを見て、様々な気付きを得ることができます。
・商品コンセプトができてきたとき(コンセプト調査)
新商品のコンセプトを作成したとき、それが消費者が求めているものかどうかはわかりません。
実際にどの程度、消費者に受け入れられるのかを知るために、オンラインアンケートなど定量調査を行います。近年では、ネット環境が整い、ネット使用者が増えたため、大量のオンラインアンケートを低コストで行えるようになりました。また、Google Formsなどのプラットフォームを使用すると、自社で簡単にアンケートを作成することが可能です。
*コンセプト調査とは、製品コンセプトが消費者にどのように受け入れられるかなどを知るための調査です。
・コンセプトのブラッシュアップを行う
定量調査で絞られたコンセプト案を再度、定性調査にかけることで、より消費者のニーズに合う製品にするためのブラッシュアップが行えます。インタビュー調査をする利点は言葉では表現しにくい感情をとらえたり、「Aのコンセプトのほうが興味はあるが、ここの文言はBのコンセプトのほうがいい」というような白黒はっきりしないグレーゾーンの意見を探れる点です。
・製品とコンセプトがあっているのかを確かめる
消費者に製品のホームユーステスト(Home Use Test)を行い、アンケートやインタビューでコンセプトと使用感の間にあるギャップなどを探ります。普段の生活の中でテスト製品を使用することで、会場での調査と比べ、よりリアルな使用に関する意見や評価が出てきます。
*ホームユーステストとは、消費者が実際に使用するときと同じシチュエーションでテスト製品を使用してもらい、その感想や評価を取得する調査です。コンセプト調査以外でも、製品の開発段階などで行うこともあります。バイアス(先入観)がかからないように商品名を隠して(ブラインドテスト)行ったり、競合製品も含めて複数製品で使用してもらったりすることがあります。
・製品のパッケージ調査(FMOT調査)
実際の売り場を模した模擬店舗を利用して、パッケージ調査を行います。他の競合製品と一緒に並べた状態で、インタビュー対象者が手に取り、購入するかを調査します。単純に購入率を測る以外にも、一緒にデプスインタビューを行うことで購入に関するバリア(障壁)やトリガー(きっかけ)を探ることもできます。
*エフモット(FMOT=First Moment of Truth)とは、P&G社が提唱したメンタルモデルです。「消費者は店頭で目的の商品が並んだ陳列棚を見て、最初の3秒から7秒でどの商品を買うかを決めていることが多い」とし、商品を買うかを買わないかを決める瞬間のことを指します。
・発売後のトラッキング調査
トラッキング調査をする場合は、発売後、早い段階で行います。そうすることで、次のマーケティングの一手をより効率的に打つことができます。よく行われているオンラインのトラッキング調査ではyahooなどのサイトで「この広告をみましたか?」と広告認知をとるアンケートなどがあります。定性調査で行う場合は、実際にその製品を買った人と店頭で見て興味はあるが購入まで至らなかった人を比較するなどし、商品に対するバリアやトリガーを探ります。
一定地域で限定販売した後に全国展開する場合などは、限定発売した後にトラッキング調査を行うことで、全国展開に向けブラッシュアップされた販売戦略を立てることができます。
・製品のブラッシュアップ
発売後、一定期間がたち、売り上げなどが落ち着いてきた段階などで行います。ユーザー、ノンユーザー(以前購入したが最近は購入していない休止者と一度も購入したことがない人)など、異なる条件の対象者を集めてデプスインタビューを行い、商品に対するバリアやトリガー、リピートした理由などを探ります。調査の結果、製品コンセプトやターゲットを変えて販売すると売り上げが上昇したなど、ということもあります。
このように製品開発の段階からマーケティングリサーチを行うことで、マーケティング戦略に微調整を入れていき、より効果的なマーケティングを行うことができます。マーケティングの進んでいるアメリカなどは、かなりの予算をかけてマーケティングリサーチを行う企業もあります。
■マーケティングリサーチを行うパートナー
どの調査でもアンケートやインタビューの対象となる人がいなければ行えません。自前でアンケートやインタビュー対象者を集めるのは多大な労力が必要です。そのため多くの場合は、専門のマーケティングリサーチ会社に業務を依頼します。
また、定性調査の場合は、モデレーターと呼ばれるインタビューの進行役と一緒にインタビューを行うことがあります。
マーケティングリサーチ会社
日本には、大小さまざまなマーケティングリサーチ会社があり、それぞれ得意とするカテゴリーや調査手法が異なります。また、リサーチのセッティングから分析まで手掛ける会社や、インタビューの対象者を集めるリクルート業務を専門とする会社など、行っている業務も各社異なります。
マーケティンリサーチ会社は、調査を一緒に行うパートナーでもあります。良いパートナーと出会うことで、調査の質も上がり、結果、良いマーケティングを行えます。そのためにもどのマーケティングリサーチ会社と調査を行うか、規模や知名度だけではなく、内容も考え選ぶことが必要です。
インタビューの進行役モデレーター
モデレーターとは、インタビューを主導し、進めるモデレーション(moderation)を行う人のことです。特別な資格などはなく、マーケティングリサーチ会社やメーカーのマーケティング部門出身者が多いです。実際の調査では予算に合わせ、プロのモデレーターを使用したり、自社のスタッフがモデレーションを行ったりします。プロのモデレーターは、インタビュー以外に、インタビュー内容の設計や、分析、サマリー作成なども行うことがあります。優秀で経験が長いモデレーターの分析やサマリーはリサーチ会社が作成するもの以上のこともあります。
最後に
一言でマーケティングリサーチといっても、その調査手法は多岐にわたり、必要に応じて適切な調査を行う必要があります。調査も1度ではなく、幾度も行うことで、調査設計や分析のノウハウを蓄え、より優れたマーケティングリサーチを行えます。
また、今後、市場の変化やデジタルの発展で様々な調査手法の開発が期待されます。
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