2023.12.13社長コラム
自己肯定感と自己責任
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
今年の夏は猛暑で冬は暖冬になると言われていましたが、たしかに気がつけばもう12月かと思うほど暖かい秋だったなと感じます。
秋と言えば紅葉狩りの季節ですが、ここ数年の気候から関西に住む私にとって紅葉狩りは12月初旬というイメージを持っています。今年は秋の空気の香りをあまり感じることが出来ていないまま冬が到来してしまい少し残念に感じます。
また、季節の変わり目は体調を崩しやすいので、身体のケアと共に心のケアを怠らないように気をつけて過ごしていきたいと思います。
さて、今年一年を振り返ると多種多様なニュースがあったように感じます。私個人の感想ですが印象に残っていることの一つとして、「新型コロナ5類引き下げ」が挙げられます。
コロナ禍で学んだことは非常に多く、思うようにいかなかったことを「コロナ禍だから仕方ない」と言い聞かせたこともありました。また、働き方やDXなどについても考える機会が増えました。日々継続して培ったものはコロナ禍を乗り切るツールになりましたが、日頃から出来ていなかったことは不甲斐ない結果になるという現実を突きつけられました。
しかし、私たちは如何なる困難に直面しても、考えて行動し立ち向かっていかなければなりません。
そんな時、気持ちを奮い立たせたるなど自己暗示をかけるのに使われるフレーズは幾つもあります。モチベーションアップ、ポジティブシンキング、インセンティブなどの横文字が多く使われている現代ですが、言葉のインパクトが強すぎるせいか無意味に乱用されているような気がします。
また、「自己肯定感爆上げ」などという言葉も最近では世間で使われていますが、そもそも自己肯定感というものの意味は何なのでしょうか。
自己肯定感とは・・・「ありのままの自分を認め受け入れる感覚」・・・とのことです。
そしてこの言葉には高い低いがあるのですが高い方が良いとされ、SNSや啓発本やセミナーなどで高める方法が紹介されています。
また、世界7カ国の13歳~29歳の若者を対象にしたある調査によると次のような結果が出ました。
「自分に満足しているか ? 」という質問に対して「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と答えた人が日本は45.8%、韓国が71.5%、米国が86.5%でした。この数字だけを切り取れば日本の若者の自己肯定感は低いと言わざるを得ません。ところが、「自分は役に立たないと強く感じるか ? 」という質問に対して「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と答えた人が日本は47.1%、韓国が50.3%、米国が48.7%という結果になりました。47.1%の日本の若者が「自分は役に立たないと強く感じるか?」に同意しているということは、逆を言えば、52.9%の日本の若者が多少なりとも自分は役に立つと感じていると読み取れます。つまり、この2つの結果を日本の場合で言語化すると「今の自分には満足していないが、自分は役に立つ人間である」と思っている若者が過半数以上いるということです。
ここから浮かび上がってくるのは「謙遜して前向きな若者像」であり、日本の若者の多くは謙遜しているのであって根本にある自己肯定感が低いというわけではないのです。
一方、調査結果で興味深いのはアメリカの若者で「自分に満足している」と答えた人が非常に多いのですが、「自分は役に立たない」と答えた人が半数近くいるということです。
つまり「自分は役に立たない人間であるが、今の自分には満足している」という若者が半数近くいるということです。これを自己肯定感が高いと呼ぶのかナルシストと呼ぶのか私には判断がつきません。
ちなみに私自身は自己肯定感が低いと思って生きてきました。今でも思っています。
自分の存在や考えなど世界人口80億分の1にすぎないと常に思っていますし、私の意見が100%正しいなどと思うことはありません。
日々の仕事を行う上で案件が重たいものとそうでないものと様々ありますが、自分の考えだけに頼らず周りの人の考えも取り入れて決断することに変なプライドはありません。
その考えのおかげか、自然と人を尊重する気持ちが備わったのだと思います。また自分の意見が100%正しいと思わず周りの考えも取り入れてやってきたので、周りの人に仕事を任せることにも抵抗感はありません。任せることとは責任と主体性を付与することなので、その人の責任のもと仕事が遂行していくことでスムーズにコトが進み、その人の成長に繋がればいいなと思っています。ただ、仕事を任せたのであれば、その人に仕事を任せた責任者として連帯責任を負う覚悟を持たなければなりません。
もちろん自分の役割の中で自分自身が決断する必要がある場合、自己責任として意見を通すことはあります。
つまり、私の思う自己肯定感とは、低いことによって自分を過信することなく人の意見を聞く耳を持ち、また人に仕事を任せることもでき、そのことで人の成長にも繋がり、併せて自己責任という覚悟が備わるということです。
「所詮自分」と思っていれば、変なプレッシャーも無く何事も伸び伸びチャレンジ出来るような気がします。
自分の言うことが100%正しいという自己肯定感爆上げのナルシストな生き方よりも、自己肯定感低めの謙虚な生き方の方が、日本人である美徳を積めるのではないでしょうか。
本年も残すところあとわずかになりました。東具大阪本社では、例年この時期に社屋外構にLEDによるイルミネーションの装飾をしておりました。今年はコロナ禍以来、数年ぶりにイルミネーションの装飾を復活しました。近隣地域の方々に少しでも和んでいただき元気の源となればという思いで社員自らが協力し合いながら飾り付けをしています。
私たちが出来ることを惜しみなく発揮して、皆様と社会のために今後も努めて参りたいと思います。
今年一年お世話になり、ありがとうございました。来年も宜しくお願いいたします。