2024.04.10社長コラム
春の桜
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
ようやく春らしい陽気になり全国で桜の満開の便りが届き、街路樹や川沿いの桜の木々に目をやると見事に咲き誇り、ここ最近に見るそれの姿は圧巻です。
今シーズンのお花見の経済効果は去年の約2倍の1兆1358億と試算されていますが、訪日外国人が3割増ということが要因の一つのようです。今年は寒の戻りがあり桜の満開時期も不確定でしたので、例年に比べると開花も少なめに感じていたのですが、実際はどこもかしこも素晴らしく満開でした。
人間は、悩み事や不安なことがあると周囲の物事に対してもネガティブな感情を抱くことがあると言われています。当初私は今年の桜を見て、開花が少なめに感じてしまっていたのは、柄にもなく悩み事があったのかもしれません。
4月になり、世間一般に新年度が始まりました。当社でも新入社員の方々を迎え入れることができ、こちらも身が引き締まる思いです。
入社式に於いて、私から新入社員の方々にメッセージを送ったうちの一つに、「仕事は95%が辛いこと、5%が楽しいことや嬉しいことと私は思っています。社会人として30年務めて来られたいま、笑ってここに居られるのは、それを糧にして人生捨てたものじゃないと感じることができたから。」というのがあります。
私はこのメッセージの意図が、伝え方の不備により正しく伝わっていなかったのではないかと振り返りました。
「5%の楽しいことのために95%の辛い思いをするように」という意図では決してなく、「単純に割合で95%辛く5%楽しい、その辛いこと楽しいこと全てを自分の糧にすることができた」というのが正解です。自分の思い通りにならないことが多く、生きにくい人生と思うことがあるかもしれませんが、それによって学ぶこともたくさんあります。
たとえば、「自分の思い通りにするためにはどうしたらよいのか」と考えた時に、プレゼンをする相手によって言い回しを変えるなどアプローチの仕方を工夫することがあります。
しかし、その人の機嫌や思考だけに標準を合わせ、本質を捻じ曲げてプレゼンをしてしまっては本末転倒です。相手に忖度をするのではなく、世の中の情勢や未来を見据えての考えや、それをすることによる価値創造、周囲の人たちの気持ちの盛り上がりなど、全体を見渡した時にどうあることが理想的かを伝えなくてはいけないのです。
「DX」、「SDGs」、「値上げ」、「世代交代」など、促進していかなくてはいけないことに対して俗人的な意見を気にして停滞していることが多いのが現状だと私は感じています。
新入社員の方々に伝えたいことこそが、世の中の理想であり進めていかなくてはいけないことだったのです。
いろいろな価値観が尊重される現代において、如何に柔軟に対応できるかが肝心ではないでしょうか。皆が広い視野をもって少しずつでも理想的な社会になっていくことを望まずにはいられません。
日本らしさの象徴でもある皆で桜を愛でる光景ですが、鎌倉時代の歌集によると桜はもともと哀れな感情を連想させる花であったようです。仰ぎ見る人の心に寄り添い人の世のはかなさを感じさせたり、また慰めや希望を感じさせることもあります。
そんな春の桜のおかげで、いまを生きる力がついたのかもしれません。