2020.12.08社長コラム
「要らない」という選択
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
この時期、早くこの過ごしにくい生活様式から解放されたいと誰もが思っていることでしょうが、新型コロナウイルスの第3波がそれを遮っています。感染者や重症患者の数も増え都市部での自粛要請も出され、いまもう一度向き合った対策が必要となっています。政府は経済を回すために決定的な判断を下しにくいような様子ですので、私たち個人個人が感染防止にたいして出来ることを実行していくことが大切だと思います。
そのような中でも、月日は流れ2020年も残り数日となりました。年末に向けて、やり残したことややらなければいけないことが山積みという方も多いでしょう。そして年末のイベントといえば大掃除が挙げられます。一年の汚れをきれいにして溜まってしまった不要なもの捨てるということですが、これは新年を気持ちよく迎えるにあたり古くからの慣習であります。
そのゴミの廃棄について、ここ最近では環境問題の観点から身近なところでも取りざたされています。
SDGsでも「つくる責任つかう責任」という目標があるように、生産から廃棄までのタイムスパンが短いものに関しては非常に気になります。
特に食品や衣類に関しては、他で必要とされているところがあるにも関わらず簡単に廃棄してしまう仕組みになっていることについて、真剣に考えなければいけないと思います。
私どもの会社でも、整理整頓のために用意した棚や仕切りが、しばらくするとそれ自体が邪魔になり廃棄処分送りになるというまさに「策士策に溺れる」という現象が起こってしまっています。
また、今年7月から始まったレジ袋有料化に伴い、プラスチック製買い物袋の使用が減ったのは事実でしょう。しかし私の感覚では、コンビニ・スーパー・ドラッグストア等ではレジ袋を見る機会は減りましたが、一部家電量販店などでは「厚さ50マイクロメートル以上で繰り返し使用することが可能な袋」という理由で今まで通り無料で使用配布しているように思います。普通の消費者の立場からすればありがたいことなのでしょうが、環境目線で考えたときにここに進展がないことに違和感をおぼえます。
先日私が体験したことですが、家電量販店で展示品を購入する機会がありました。その際に、わざわざまた商品の箱に戻す手間とその箱自体がゴミになると判断し、そのまま持ち帰らせていただく旨を店員の方に伝えました。すると、その店員さんは「プチプチで包装します」というご返答。プチプチとは気泡緩衝材のことで傷や衝撃から守るための包装資材ということは理解していましたが、それ自体もゴミになるし包装する手間も掛かると思い、「極力簡単にお願いします」と伝えました。
しかし、その商品はプチプチにグルグル巻きにされもともとの倍ほどの体積に膨れ上がっていきます。手際も良くなくモタモタされていたので、店員の方には大変申し訳なかったのですが、「そんな過剰包装ではゴミになりますし時間も掛かるようなので包装は要らないです」と丁重にお断りし、結局包装無しで引き上げました。
店員の方からすれば、その包装は最低限のサービス提供であって、いわば日本人ならではの美学みたいなものだったのだろうと思います。残念ながら、私には不必要なサービスであったわけですが。
Webを見ていると、2015年の新語流行語大賞にノミネートされた「ミニマリスト」という生活スタイルを取り入れている人が、ここ最近急激に増えているようです。必要最小限の持ち物で、丁寧な暮らしを実践するミニマリスト。限りある資源、限られたスペース、限られた時間、そして環境問題を鑑みたとき、彼らのように「要らない」という選択をすることが大切なのかもしれない。