2025.02.12社長コラム
手袋の気持ち
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
2月に入り、今年最強・最長の寒波が到来したとのことで、降雪に悩まされる日本海側地域の方は、特に冬の厳しさを感じていることでしょう。
今年は私自身、2月5日に東京に日帰り出張をしてきましたが、事前に寒波の情報が入っていましたので、移動の新幹線のダイヤの乱れをある程度想定していました。しかし、結果ダイヤの乱れもなく降雪に遭うこともなく、行き帰りの移動は何も問題はありませんでした。
ちなみに、昨年の2月5日も東京に出張でしたが、到着後の夕方から大雪に見舞われ、歩行も困難なほどでした。その日はもともと宿泊をする予定でしたので、翌日、帰りの移動時には雪の影響もなく無事に帰阪することができました。立春が過ぎた2月5日という日でも雪に悩まされるとは。
さて、私は日ごろから出かけるときはなるべく荷物を減らすように心がけています。それにはいろいろな理由がありますが、一番の理由は「物を無くしたくないから」です。
それが癖づいているせいか今回の最強・寒波の当日、コートは着て出たのですが、手袋を忘れて一度家に戻り、その後マフラーも持ってくればよかったかなぁ、なんて思った頃には後戻りできないところまで移動していたので防寒対策としてはコートと手袋ということになりました。
しかし、その日は手袋を使用する機会はなく、マフラーも必要と感じなかったです。
結局、使用しない手袋を無くさないように気を遣って過ごすことになりました。
この季節、道端に片方だけの手袋やニット帽などが落とし物として目にすることがあります。飲食店のカウンター下の棚にマフラーを置き忘れる人もいます。
それらの冬の防寒アイテムを落としたり忘れたりしがちの人は、もっと注意して管理をしてほしいと思います。
私は飲食店などで、比較的周囲に目配せすることもあり、忘れ物や落とし物をする人を目の当たりにすることが多々あります。そのような時、「忘れ物してますよー」「落とし物してますよー」と声を掛けます。この行為はその人に対しての思いやりというよりも、忘れられたり置き去りにされる物に不憫さを感じるというところからきています。
つまり、本来使われるべき物が使われず、あげく紛失されてしまう物からの目線で考えた時、「こんなつもりで生まれてきたはずではないのになぁ。ちゃんと使ってほしいなぁ」と思っているのではないでしょうか。
食品スーパーなどの店頭においても、要冷蔵の豆腐が常温のお菓子売り場に1個だけ置き去りにされていたり、ペットボトルのドリンクが1本だけ倒れてラベル表記が見えない状態であることがあります。その状態ですと、その1個その1本は消費者に買われるチャンスを逃してしまう可能性が高く、それを思うと不憫でなりません。
私たち店頭販促に携わる者として、POPや演出やキャンペーンなどを考えることが仕事になっていますが、それ以前に商品自体の気持ち、その商品を生み出した親の気持ちになることが大切だと思います。
例に挙げましたような、その商品を「手に取ってもらうことを阻害する要素」を取り除いてあげることが、その場に居合わせている人間にとっては重大な役割だと思います。
派手な演出をすることばかりが店頭販促ではないのです。店頭に並んでいる商品全てが買ってもらえる権利があるのですから、私は尊重したいと思います。
人間以外の生物を含む木や石など全ての物の中に魂が宿っているという思想をアニミズムというそうです。日本では八百万の神々(やおよろずのかみ)の概念と近いのと、アニメの語源とも言われています。
人間は一人では生きていけないといいますが、生きていくために「自然」や「物」などにも大きく影響を受けたり助けられることがあります。
手足や言葉を操れる私たち人間は、出来ることをしてそれらと関わっていくことが大切ではないでしょうか。
暦のうえでは春ですが、まだまだ雪や寒さの対策は疎かにできないでしょう。
とはいえ、明らかに陽は長くなり季節は春に向けて一歩一歩進んでいます。
寒い冬から守ってくれた防寒アイテムに感謝しながら、新しい季節を迎えようと思います。