2020.06.11社長コラム
情けをかける
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。
日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。
まだまだ新型ウイルスの感染拡大に予断を許さない日々が続きますが、皆様におかれましては感染防止対策として世間の新たな習慣が身についてきていることでしょう。
その新たな習慣として「マスク着用」がありますが、私は家の中と自分が運転する車の中ではマスクをつけていないのですが、外出した時にうっかり忘れて取りに帰ることになったり、出先で高額なマスクを買うはめになることもあり気をつけねばと自戒するところです。また、店舗などの施設内でのソーシャルディスタンス対策も身近に行われていますが、所々にサインで示されているので自ずと意識することができ行動にも反映させやすいです。しかし、マスクにフェイスシールドを付けて接客をされている店員の方の姿を見ると、これから暑くなり熱中症になりやすいので本当に気をつけてほしいと心配してしまいます。
そんな中、世間では経済が動き出し新しい日常に推移していこうとしているのですが、働く人にとって気になるのは会社の業績やそれに伴う賞与への反映がどうなのかということではないでしょうか?当社では2014年に現在の人事評価制度を取り入れていて、上期を5月から10月、下期を11月から4月と分けて賞与査定をしています。ちょうど今が下期の査定時期になっており、11月から4月までの業績と社員の評価がこの夏の賞与に反映されることになります。過程としては、自己評価、一次評価、二次評価、他部署評価、加点減点、調整会議を経て最終役員評価という流れですが、「公平で透明性の高い人事システムの実現」と「実力・成果を重視した処遇の実現」を目的として刷新した、相応に価値のある人事評価制度として自負しております。
後半の調整会議では、現場により近い課長級以上のメンバーが集まり、評価の対象になる社員一人一人のことについて評価し合うのですが、良くも悪くも目立つ人が話題に上がりやすいです。その反対に、目立たず話題性の低い人もいるのですが、個別と全体を見渡して最終的に評価が完成します。総合的に見て、いまの世間の風潮は従業員優位に流されがちな気がします。特に良かった人をプラスで評価するのは理解しやすいのですが、悪かった人に対しての擁護もそれなりにあり適正な判断に苦しみます。たしかに従業員あっての会社ではありますが、「温情」すなわち「情けをかける」ということがどれだけ意味のあることでしょうか。
「売上目標に達成しないのはお客様の予算が変更したから仕方がない」
「プロジェクトが完遂しなかったのは他にやらなければいけないことがあったから仕方がない」
「出勤に遅刻するのはダイヤが乱れがちな電車だから仕方がない」
このようなことに情けをかけて何の意味がありますでしょうか。私から見れば、成果が出せない直接の要因でないにしても、その人の怠慢な行動にもかなりの要因があるのではと考えます。もし仮に本人が本気で仕方がないと思っているのであれば、情けをかけたとしても行動変容も期待できないということになるでしょう。
賞与は現代では生活給として考えられるようになっていると言われています。世の中の景気も良く、安泰な一流企業に勤めている状況であればそれでもよいのでしょうが、今回のようなコロナ禍で景気も悪い状況で職を失ったり賞与が下がったりと、これからの生活に不安を抱いている人も少なくないでしょう。私の知っているフリーランスの人は仕事が激減し、大手企業の人は賞与一律寸志、医療に従事している人は賞与ゼロということもあり得るのが実状です。国からの特別定額給付金を賞与の減額分の補填に回さざるをえない人も多いでしょう。
誰しも一生懸命やっている人に対しては情けをかけたくなるでものです。その情けをかけられた人はそれを励みとしてもっと頑張れる。頑張れるのは、もちろん期待に応えたいからなんですよね。もし自分に情けをかけられたと感じた時には、状況のせいにするのではなく、なんとか期待に応えてやりたいと思う自分でありたいものです。