2021.04.13社長コラム
今年の桜
株式会社東具 代表取締役社長の清水貴義です。日頃より、東具に関わる皆様方には誠に感謝いたします。新型コロナウイルス感染拡大の話題が尽きない日々が続きますが、感染が急拡大している大阪・兵庫・宮城に「まん延防止等重点措置」が適用されることになりました。気を抜くことなく皆が配慮しながら、一日でも早い終息を願いたいものです。
さて、今年の桜が一段ときれいに見えるのは私だけでしょうか? 東京では3月22日に満開(平年より12日早く昨年とほぼ同じ)、大阪では3月28日に満開(平年より8日早く昨年より6日早い)でした。地球規模で温暖化の影響もあり、年々満開の時期が早まっているのでしょうが、私たちの学生時代に感じた満開の桜は入学式を過ぎた頃だったと記憶しております。周囲の何人かの人に今年の桜が特別きれいに見えないかと問うと、大抵の人がコロナの影響ではないかと答えました。つまり昨年はお花見という形でゆっくり桜の花を愛でることが出来なかったという印象が強く、移り行く季節の景色よりも先が見えないコロナの不安の方が大きかったのでしょう。しかし実際は今年の桜の花は力強く咲き誇っていたようです。桜の開花と気温の関係に「600度の法則」というものがありまして、2月1日以降の最高気温の積算が600度を超えると開花するというものです。たしかにこの3月は全国的に寒暖差が激しく、冬が逆戻りしたと思うほど寒い日があれば20度を超えるような暖かい日が続くこともありました。そしてまた夜には肌寒い気候になるということで、桜の花にとって長い期間花を保つことができ、メリハリのある姿で居続けることができたようです。
植えられている桜の木といえば、公園や学校や道路沿いのような人が集まる所にあるイメージをもっている人も多いでしょうが、実際は川沿いの植樹が多いのです。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、その理由は実は災害対策のためだったのです。江戸時代の頃は、大雨が降ると川が氾濫しやすく土手が決壊することもしばしば。当時考えられたアイデアは、土手を強化するために桜の木を植えようというものでした。土手に桜を植えることによって毎年多くの人が花見来て歩いてくれることによって土手が踏み固められる。この知恵が現代まで受け継がれているのです。また、川沿いの桜の木の枝は川に向かって伸びています。桜は太陽からの日差しを浴びて生長しますが、日差しが届きにくい下の方は川面の太陽の反射光が照らしているので川面に向かって伸びているのです。
このコロナ禍で密を避けるためにもレジャーシートを敷いてのお花見は自粛しなくてはなりませんが、人通りの少ない川沿いの桜を、様々な思いを描きながら歩くというのもよいと思います。コロナだから辛いということもありますが、コロナとはいえ楽しめることもあります。そして何でもコロナだからとネガティブに考えて、何でもコロナのせいにするのも違うと思います。日本には樹齢2000年の桜の木も有ります。如何なる災いが降りかかっても、その都度なんとか乗り切ることで、桜も人間も美しく咲き誇ることができるのではないでしょうか。