REPORT

  1. ホーム
  2. 企業情報
  3. サステナビリティ
  4. SDGs活動レポート
  5. 物流センターの電源に太陽光発電システムを導入

2022.12.22環境への対応

物流センターの電源に太陽光発電システムを導入

地球温暖化や環境問題がますます取り沙汰される中、2015年5月に東大阪物流センターを新築移転した際に、環境対策の「初めの一歩」という思いから当社は太陽光発電システムを導入しました。

■ソーラーパネルの設置環境

東具東大阪物流センターの立地

東具東大阪物流センター(東大阪市稲田新町2丁目)は周囲に高い建物も無く、屋根に影を作るような障害物がありません。降り注ぐ太陽光は全て受けることが出来る環境です。

大阪府の日照時間

気象庁のデータによると大阪府の1991~2020年の年間日照時間は平均2049時間、日射量は平均13.6MJ/㎡となっています。全国日照時間ランキングでも上位にはいります。
内訳を見ると、5月と8月は日照時間と日射量共に多くなります。6月は梅雨があるので日照時間は短くなります。日射量は春から夏にかけて多くなります。

気象庁の1991年から2020年の大阪府の月ごとの日照時間と全天日射量の表になります。

■設備

実際の物流センターの写真を交えて紹介していきます。

東具物流センターには現在太陽光パネルを3か所に設置しています。
黄色枠部分が太陽光パネルです。
パネル総数は3か所で計245枚。
傾斜がほとんど無い屋根に添うように設置されています。
ソーラーパネルは地域によって最適な傾斜角度があり、大阪の最適角度は南向きで約30度になります。
設置の角度により発電効率は変わるので、設置場所の最適角度により近くなるように設置する必要があります。

こちらは、上空写真で見ると「T」の文字の左横にあるパネルです。

パネル1枚のサイズ:縦1318×横1004×厚み46mmです。
こちらは6×14枚=84枚のパネルが並んでいるので、1面は縦:約18.4m、横:約6mになります。

「U」の文字の左側にあるパネルも、1面が18.4×6mです。

「T」の文字の右側にあるパネルは77面になり、他の2面より面積は少し小さいです。

太陽光パネルに近寄った写真です。
よく見るとところどころ汚れています。汚れの程度によりますが、汚れが付いた部分は発電効率が悪くなるので定期的な清掃が必要です。
この汚れを専門業者に依頼をせず自力で落とすには、ケルヒャー社製の高圧洗浄機と太陽光パネル専用ブラシ、専用洗剤を使えば可能ですが、もろもろの購入金額と労力と故障させてしまうリスクを考えると、専門業者に依頼する方がいいかもしれません。

こちらは屋上に設置しているパワーコンディショナーという、太陽光発電に必須で重要な装置です。太陽光で作り出した直流電力を交流電力に変換し、利用に適した、安定した出力に整える役割を持っています。
ソーラーパネル3面に対して、パワーコンディショナーは9台あります。
(写真は6台ですが、離れたところにあと3台設置されています。)
1面につき3台のパワーコンディショナーを使用しています。
設置容量は49.5kWで、低圧連系の契約です。

太陽光発電には低圧、高圧、特別高圧の3種類があるのですが、50kW未満の低圧連系は届け出が簡略化されているという事もあり、導入のハードルが低いことが特徴です。

太陽光システムWHM盤です。
当社では発電した電力は全て系統連系契約で売電しており(全量買取)、パワーコンディショナーで安定した電気はこちらに集約され、電力会社の配電線に接続され送電されていきます。

屋内の機器です。

上部には、屋上に設置されていたパワーコンディショナーのリモコンモニターが3台設けられています。
ソーラー1面=3台のパワーコンディショナー を1つのモニターで管理しています。
「今、発電している発電量」が数字で表示されます。

下部には非常時用のコンセントが9個設けられています。
ソーラー1面につき3個になります。
現状では太陽光発電システムと物流センター内の照明や空調などに使用する電気配線は連動しておらず、停電時などに館内の照明や空調を太陽光発電に切り替える、ということは出来ません。停電などの緊急時にはリモコンで「連系運転」から「自立運転」に切り替えることで電力会社への送電を停止し、こちらのコンセントから電気を取り込むようにします。
有難いことに今までこのコンセントを使用しないといけない状況に陥ったことはありませんが、このコンセントに直接プラグを差し込める電化製品しか使えないのと、蓄電池を置いていないので電気の供給が天候や時間に大きく左右されてしまうのが実際のところです。

■天候による発電量の差は?

太陽光発電は季節や天候によって発電量が左右されるという事は想像がつくのですが、1日の内の時間帯によってどれぐらいの変化があるのか、8月初旬の晴れた日と曇りの日で比較してみました。

比較した日の天候】

8月5日:この日は1日中かなり天気がいい日でした。雲の量はどの時間帯でも半分以下、太陽光発電日和です。

8月6日:翌日は一転、日中の雲量が9割以上と、あまり発電量が見込めない事が予想されます。

ソーラーパネル1面分の時間別発電量です。
8月5日(晴)の1面あたりの発電量の流れは、
 8:40頃 ・・・ 8.81kW
 11:40頃・・・11.52kW
 14:40頃・・・9.7kW
 16:40頃・・・4.37kW
 17:40頃・・・1.38kW
でした。
正午にかけてピークを迎え、15時頃を境に夕方になると発電量が大幅に低下している事がわかります。
この日は正午前後3~4時間が太陽光発電のピークでした。

8月6日(曇)の時間別発電量です。
 8:45頃 ・・・ 5.46kW
 11:40頃・・・7.38kW
 14:50頃・・・6.38kW
 17:00頃・・・1.04kW
 18:00頃・・・0.8kW
前日と比べて多少時間のズレはありますが、5日の発電量を100%とすると、6日の発電量は1日を通して約50%程度にとどまっている事がわかりました。
8月でも曇りの日は日射量が少なくなり、発電量も大幅に減りました。

■毎月の発電量は?

当社ではソーラーパネルで毎月どれほど発電されているのか、通常消費している電力(買電)とあわせてデータを確認してみます。

表は一か月ごとの太陽光発電の発電量と、通常電力の消費量です。
太字の部分が、その年で一番発電/消費している月になります。
この表を見ると、発電量は7・8月に多いことがわかります。
一方、電力消費量も8月を中心に夏場に集中しており、エアコンによる電力消費が多いことが推測されます。

■元を取るのに何年かかるのか

設備を設置する上で最も気になる内の一つ「何年でペイできるのか」。
投資金額に対する元金回収期間を計算してみました。

▼初期費用(50kW未満の低圧連携契約):約20,000,000円
▼6年間(2016年~2020年)売電価格:約10,300,000円・年平均1,716,660円

上記から計算すると、元金回収期間は約11.7年、2015年5月から設置しているので、2026年中には回収が完了の予定です。
しかし、2022年のようにエネルギー価格の高騰で電気代が上がれば、回収期間は短くなり、その後の利益も大きくなります。

■メンテナンスと耐久年数

ただし、先ほどの計算はあくまで初期費用のみを取り上げて計算した場合であり、メンテナンス費用や、設備の寿命を考えると10年経てば必ず利益が生まるというわけではありません。
それぞれの耐久年数は設備ごとに違い、
・太陽光パネル・・・約20~30年
・パワーコンディショナー・・・約10~15年
・WHM盤・・・約10年
と言われています。
その他に、ソーラーパネルの清掃などのメンテナンス費用や買い替え時の廃棄費用などを見込んでおくことも必要です。
また、台風や地震などの自然災害での破損など突発的なリスクもあります。

■ソーラーパネルで消費電力分を発電するには

東具物流センターでは太陽光発電量と消費電力量を比較した場合、すべての消費電力量を太陽光発電で作り出すにはどれぐらいソーラーパネルを設置すればいいのかを計算してみると、
太陽光発電の年間発電量は年平均約50,000kW。
一方消費電力は年平均約285,000kW。
単純計算すると現状の5.7倍の面積をソーラーパネルで埋める必要があります。
物流センターの屋根の総面積約1,290㎡に対し、現在設置しているソーラーパネルの総面積は約322.8㎡。ぎちぎちにソーラーパネルを敷き詰めても550㎡分のパネルが設置できないという事になります。

■売電で押さえておきたい「FIT制度」と「FIP制度」

FIT制度

2009年11月、低炭素社会の実現を目的として「余剰電力買取制度」が開始されました。
これは、家庭や企業が再生可能エネルギーで発電した電力を、一定の価格で買い取ることを電力会社に義務付けた制度です。一方消費者は「太陽光発電促進賦課金」として電気使用量に応じて負担することになりました。
その後、「余剰電力買取制度」は2012年7月に廃止されると同時に新しく設けられた「FIT制度(固定価格買取制度)」へ移行します。
この「FIT制度」は、当時それほど普及していなかった再生可能エネルギーによる発電を行う事業者や家庭の導入を促進する目的で、再生可能エネルギーで発電した電気をあらかじめ決められた価格で一定期間買い取るよう電力会社に義務付けた制度です。

買取価格は経済産業省が毎年設定しています。再生可能エネルギー発電を導入した年に定められた買取価格が一定期間保証されるというわけです。
価格決定の目安は発電設備の設置コストの相場との兼ね合いで設定されており、現状では設置コストの相場が年々下がっていくにつれ買取価格も下がっています。
ちなみに、「一定期間」とは、設置した太陽光パネルの発電容量によって変わります。
太陽光発電の場合は10kW未満で10年間、10kW以上で20年間となっています。

東具が太陽光発電システムを導入した2015年の買取価格(10kW以上)は29円/kWhでしたが、2021年では12円/kWhと、半額以下にまで下がっています。
逆に言えば、その分設置コストも下がっているという事になります。

また、FIT制度は2020年から新規での設置容量50kW未満の低圧連系は全量売電の対象外となっており、電力の自家消費比率を30%以上にする必要があるなどの条件が設けられています。

FIP(Feed-in Premium)制度

これまで、すべての設置容量で適用されていた「FIT制度」でしたが、2022年4月から設置容量が50kW以上の発電設備を新規導入した場合には、「FIP制度」が適用されます。
市場価格に関わらず一定の価格を補助していた「FIT制度」と違い、「FIP制度」は、市場価格+“プレミアム価格”を上乗せした価格設定で売電するという制度です。再エネ導入が進む欧州などではすでに取り入れられている制度です。

※経済産業省 資源エネルギー庁HPより

市場価格によって売電価格も変動するので売電収入予測が立てにくい反面、時間帯によって売電価格が変動するため、蓄電池を利用して買取価格が高い時間帯に売電するなどの工夫をすれば、より収益を拡大できるというメリットがあります。
まだ始まってすぐの制度になりますので、導入事例も少なく、手探り状態で進めている企業が多いかもしれませんが、今後、50kW以上の発電システムを導入検討されている企業様にとっては引き続き注目すべき制度です。

20年後の「卒FIT」

東具ではFIT制度により太陽光発電システムを設置した年から20年間の売電価格が保証されていますが、20年後にはどうなるのでしょうか。
現状では、FIT制度で定められた一定期間の契約が満了(FITからの卒業=「卒FIT」)を迎えると自動的に契約電力会社の通常買取価格が適用されることになっています。
現在、各大手電力会社の通常買取価格は大体7~9円/kWhとされており、卒FIT前と比べると大きく買取価格が下がってしまいます。

再生可能エネルギーに関する制度はこれまでも色々な改正があった事を考えると、今後も状況に応じて改正や新たな制度が設けられる可能性もありますが、現状では
・大手電力会社よりも高い買取価格設定をしている新規電力会社との新規契約する
・発電効率の高いシステムへの買い替え
・蓄電池を利用して自家消費型に変え、買う電力を削減する。
などの工夫をして、制度を利用できていた期間の価格とのギャップを埋める対策が必要になります。

東具物流センターの使用電力を全て太陽光発電などの再生可能エネルギーに替えることは難しいですが、少しでも、太陽光を用いた再生可能エネルギーを活用することで、CO₂の削減・気候変動対策へ貢献していきます。

まずはお気軽にご相談ください

06-6965-3331

平日 9:00~17:00まで受け付けております。

お問い合わせ

まずはお気軽にご相談ください

最新のセールスプロモーションカタログをお届けします。

資料請求

POPツールカタログはこちら