2023.03.08社会との共存共栄
AEDと救急蘇生
AEDの設置が求められる理由
東具本社1階玄関の受付台横と物流センター1階玄関から入ってすぐのエレベーター前にAEDを設置しています。
一般的に心停止状態から1分ごとに生存退院率が7~10%さがると言われます。しかし日本の救急車到着時間は通報から平均8分と言われています。そのため、救急車が現場に到着したときには、生存退院率が20%を切り極めて低い状態になります。
もし、300mごとにAEDが設置されていると、150m/分で取りに行けば、その間のどこからでも1分以内でAEDが届き、5分以内に除細動が可能になります。その場合、生存退院率が約50%まで上がります。
東具本社は駅が近く多くの人が行き交うエリアに立地しています。
物流センターは工場や住宅地が多いエリアに立地しています。
社員や地域の方のもしもの時のためにAEDを設置しています。
こちらのサイトから全国のAED設置場所を確認できます。
日本全国AEDマップ
(*こちらのサイトのAED情報は一般の方が投稿されたものです。情報が古かったり誤っている可能性もあります)
実際のAEDはどのようなものなのか?
東具本社に設置している旭化成ゾールメディカル社製のZOLL AED Plusでご紹介します。
AED収納ボックスの把手を「開」に回すと扉が開きます。扉を開くとピーとブザーが鳴ります。扉を閉めると止まります。
警告音を鳴らすことで、周囲に緊急を知らせることができます。また、いたずら防止対策にもなります。
下段部分はフリースペースになっているので、はさみや簡易毛布等、AED使用の際に必要な道具を保管できます。
AED本体は、重さ3.1kg、大きさ13.3cm × 24.1cm × 29.2cmです。
1リットルの牛乳パックを3本並べたものより少し大きいサイズになります。
肩にかけられるようにケースには紐がついてます。
もし、先に述べたように150m/分でAED本体を走って取りに行き、約3kgのAEDを持って走って戻ってくると想定した場合、想像以上に体力が必要になると思います。
*成人男性の歩く速度が70-90m/分、ランニングの速度が130-170m/分と言われています。
ケースの背面とサイドのポケットには、使用説明書と、救急セットが入っています。
使用説明書には、初めて使用する人でもわかるように、使用のポイントや救命の流れなど詳しく使用方法が書かれています。
救急セットの内容になります。
・万能ハサミ(衣服などの切断用)
・カミソリ(胸毛などの剃毛用)
・清浄綿
・ペーパータオル(パッドを貼る体表面の水ぬれのふき取り用)
・プラスチック手袋(処置前に装着)
・フェイスシールド(人工呼吸の際、感染を防ぐ)
簡単な使用方法を書いたカードも入っています。
AED本体の両サイドのチャックをおろし、本体のフタを開けます。
ケースカバーに本体ケースのフタの開け方が記載されています。
フタは把手に指を引っかけ上に持ち上げると開きます。固くて少し力が要ります。
*製品によってはフタを開けると自動的に電源が入る機種があります。
中には、電極パッドが入っています。
電極パッドの袋にも使用方法が記載されています。
電極パッドは大人用と子供用があり、使い捨てタイプになります。
本体正面にイラストで使用方法が記載されています。
イラストのランプと音声案内で一次救命処置(BLS)の流れを確認できます。
こちらのZOLL AED Plusの機械は、救命者が行う胸骨圧迫の深さに応じて圧迫は有効か、または、押す力が足りないかなどを判断し、音声ガイダンスとディスプレイ表示で適切な指示を出し、胸骨圧迫をサポートする機能がついています。
本体フタは呼吸確保のために首の下に敷き使用することができます。
救急蘇生法とAEDの使用
もし、倒れている人を見つけたらどのように対処するのか?JRC日本蘇生協議会の蘇生ガイドライン2020を参考に簡単にご紹介いたします。
1.周りの安全確認
まず、その場所が安全か確認を行います。安全が確保されていないと判断した場合は、消防や警察の到着を待ちます。救助者自身の安全を確保して、要救助者を増やさないことは傷病者を助けることより優先されます。
2.反応の確認
傷病者の肩を軽くたたきながら大声で呼びかけます。
3.119番通報
反応がない場合や、反応があるかわからない場合、反応があるが救急搬送が必要な場合は、周囲に応援を求め119番通報をします。近くにAEDがあることがわかっている場合は取りに行きます。
4.呼吸の確認と心停止の判断
傷病者に反応がない場合は、呼吸の確認と心停止の判断を行います。
呼吸は胸や腹部が動いているか注意して見て確認します。呼吸がない、または呼吸はあるが普段通りではない、わからない場合は、心停止と判断します。また、呼吸の確認は10秒以内に行います。10秒見てもわからない場合は心停止と判断します。
5.胸骨圧迫
心肺停止と判断した場合は、すぐに胸骨圧迫を行います。
傷病者を仰向けに寝かせ胸の横にひざまずき、胸骨のした半分を圧迫します。胸の圧迫は深さ5cmくらい沈むまで行います。1分間に100-120回(1秒間に1-2回)のペースで行います。
人工呼吸は救助者の中に人工呼吸の訓練を受け、行う意思がある人がいた場合にのみ行います。
6.AEDが到着したら
まずAEDの電源を入れ、AEDの使用説明に従いパッドを胸部に貼ります。AEDによる心電図解析が開始されたら傷病者に触れないようにします。その後、AEDの指示に従い、電気ショックボタンを押して電気ショックを行い、直ちに胸部圧迫を行います。
心肺蘇生とAEDは救急隊の到着、または普段通りの呼吸が戻ったり傷病者が自分の意志で体を動かすまで行います。
電極パッドを貼る胸の部分が濡れている場合はタオルなどでふき取る必要があります。貼り薬など何かが貼られている場合は、それらを剥がし、薬剤などをふき取る必要があります。
床や地面が濡れていても電極パッドが濡れなければ使えますが、AED本体は雨などで濡れないようにする必要があります。
AEDにメンテナンスは必要か?
AEDは救急処置のための医療機器です。いつでもどこでも使用できるように日常のメンテナンスが必要です。
多くのAEDは毎日の点検をセルフテストで行います。その他バッテリーや電極パッドなどは未使用の場合でも交換時期が来たら交換が必要です。
セルフテスト
AEDが使用できる状態にあるか、自動でセルフテストを行っています。
ステータスはインジケーターに表示されます。
写真のように緑色チェックマークでしたら、使用できる状態です。赤色バツマークは使用できない状態であることを表しています。
消耗品の交換
電極パッドやバッテリーの消耗品は有効期限に従って交換が必要になります。
バッテリー交換は手動で簡単に行えます。
AEDの使い方を学ぶ
自治体により異なりますが、多くの自治体では消防署や防災センターで個人や企業に対してAEDの使い方を含む心肺蘇生法を学べる普通救命講習を行っています。費用はテキストや人工呼吸で使用するマウスピース代として1,000-2,000円ほどのところが多いようです。
その他、AEDメーカーの公式サイトやインターネットの動画サイトなどでもAEDの使い方を学べます。
いざ、AEDを使用するときになると、使用手順に戸惑い、スムーズな救命ができないかもしれません。
事前に、講習や動画などでAEDの使い方を知っていることで、万が一の時も、慌てずに行動を起こせると思います。