2023.10.20社会との共存共栄
SDGsで使われるワード_4 「RE100」「ソサエティ5.0」「ISO26000」
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取った言葉です。
言葉の意味を正しく理解することもSDGsの活動の1つだと考え、よく使われる言葉を少し紹介させていただきます。
第4弾となる今回は数字を含むワードをピックアップして解説していきます。
RE100
Renewable Energy 100% の略称で、企業が自らの事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブになります。
2014年に発足して、2050年までに事業活動に使用するエネルギーを原子力発電を除く水力発電、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電で100%調達することを目標にしています。2023年10月現在、27カ国地域から名だたる世界的企業400社以上が参加し、日本からも83社が参加しています。
RE100は主に、グローバルな多国籍企業や国内での認知度・信頼度が高い大企業が対象のため、中小企業の加盟はほぼ不可能です。
そのため、日本では中小企業でも参加できる同様の枠組みとして再エネ100宣言RE Actionが2019年に発足しました。
RE Actionは日本国内の企業、医療機関、教育機関、自治体などの団体が対象となり、2050年迄に使用電力を100%再エネに転換する目標としています。
その他、類似の国際的なエネルギーに関する枠組みとして省エネ効率を改善することを目的に掲げるEP100(100% Energy Productivity)や輸送手段の電化を目標に掲げるEV100(100% Electric Vehicles)があります。
ソサエティ5.0
ソサエティ(Society)5.0は、内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下で行われる「重要政策に関する会議」の一つである総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で策定された計画で2016年1月に初めて提唱されました。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たに目指すべき未来社会の姿と定義しています。
ソサエティ5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出します。
人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されるとしています。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となることを目指しています。
例えばソサエティ5.0ではどのような社会になるのか、いくつかのジャンルで見ていきましょう。
ものづくり
まずAIによるビッグデータの解析があげられます。消費者の需要からサプライヤーの在庫情報、配送情報などモノづくりに関わる大量のデータをAIで解析することで、サプライヤーの強化や柔軟な生産計画・在庫管理を可能にします。その他に、生産現場や物流現場でのロボットの活用により、人手不足の解消につなげたり、効率化を促進することなどができます。
教育
ICT技術の発達で、どこにいても学べる状況を作り、また、個人の能力や関心に応じた学びの場を提供することが可能です。EdTech(教育(Education)× テクノロジー(Technology))を活用して、個人の学習状況をデータ化し蓄積して解析、最適な学習計画や学習コンテンツの提示、さらなる学習支援につなげることができます。
防災
人工衛星や気象レーダー、その他さまざまなものから収集するデータをAIで解析することで、台風や豪雨、地震、火山の噴火などの自然災害を予測し備えることができます。また、災害発生後も救助ロボやドローンを使っての迅速な救助や、早期復興を図ることも可能です。
農業
担い手不足や高齢化という課題を抱えている農業分野において、自動運転のトラクターやドローンによる農作業の自動化や省力化は、課題解決の大きな一歩になります。また、AIで天気や生育状況の解析、生産の予測は大いに役に立ちます。超省力で高生産のスマート農業が実現すれば、食糧問題の解決にもつながります。
スマートシティ
ICTなどの新技術を活用した高度な計画、整備、管理・運営を行い、都市や地域の抱える課題を解決し、新たな価値を創造する持続可能な都市や地域になり、政府が推進しています。
このように、ソサエティ5.0を実現することは、貧困や飢餓、教育、環境、健康福祉、ジェンダー平等など世界共通の社会課題の解決につながります。
ISO26000
ISO(国際標準化機構:本部ジュネーブ)が2010年11月1日に発行した、組織の社会的責任に関する国際規格です。この規格は何かの資格を取得するためなどのマネジメントシステム規格ではなく、CSR(Corporate Social Responsibility ; 企業の社伒的責任)のための手引書(ガイダンス)になります。
ISO26000には社会的責任を果たすために必要なこととして7つの原則が提示されています。
- 説明責任
- 透明性
- 論理的な行動
- ステークスホルダーの利害の尊重
- 法の支配の尊重
- 国際行動規範の尊重
- 人権の尊重
そして、7つの中核主題で組織が社会責任を果たすために重視するべき領域を提示し組織が総合的な視点からCSR活動を計画、実施、評価するための枠組みを提供します。
- 組織統治
- 人権
- 労働慣行
- 環境
- 公正な事業慣行
- 消費者課題
- コミュニティへの参画
企業の社会的・環境的影響に対する関心が高まりCSRが求められる現在、どのような業種のどのような規模の企業でも、CSR活動の計画や実行、改善を行えるようにISO26000の規格は設計されています。