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2021.09.14ものづくり

つい押したくなる! ボタン型音声POP「オスト・シャベール(成型品タイプ)」のこだわりポイント

オスト・シャベールとは

・概要

 「ボタンを押すとCMでおなじみのあのフレーズが流れる。」「あのキャラの音声が流れるから子どもがついつい何回も押してしまう。」そんな「押すとちょっと楽しくなる」音声POPが東具のオスト・シャベールです。オスト・シャベールは東具のパテント商品※の1つで、2014年に販売を開始した商品です。丈夫なプラスチック製で丸いボタン形状シェル(外郭)の中に音声基板とスピーカーを内蔵した成型品タイプと、訴求面があって単独でも設置しやすいカード形状の薄型タイプの2種類があります。今回の記事では設計者の目線から成型品タイプのオスト・シャベールについて、設計時にこだわったポイントと使用例をご紹介しています。

※PAT.第3194841号

・センサー式音声POPとの使用シーンの違い

 音声POPといえば、センサーで前を通る人を感知して音声を再生するセンサー式音声POPがよく使われています。センサー式音声POPは自社の商品にまだ気づいていないお客様に対して「自社の商品がここにありますよ」といった音声を再生してお客様に気づいてもらうことを狙って設置されることが多いです。これに対してオスト・シャベールはボタンに興味を持って押してくださったお客様にだけ音声を聞いてもらうことができます。ですので、音声の内容としては聞いてちょっと楽しくなるキャッチフレーズであったり、得したなと感じる秘密情報が最適です。また、ボタンを押すという行為自体も「何が起きるのかな?」と楽しんでもらえるため、子ども向けのおもちゃやお菓子といった商品とも相性が良いです。

・スペック(成型品タイプ)

サイズ [mm]
外径/Φ35 奥行/24 ボタン面/Φ23
筐体素材 ABS 標準白色(ロット5,000個以上でオリジナル色可能)
作動電圧 DC4.5V
電池仕様 LR44ボタン型電池3個(付属) 電源スイッチ付き
※保証外ですが電池の交換は可能
消費電流 待機時 1μA 動作時最大60mA
電池寿命 3秒音源を1万回発報(連続時)
1日100回発報の場合、100日間使用可能
音声容量 20秒(20kHz最高音質)
音声数 上記容量内で1~10種程度(押すたびに1種再生)
重量 約22g
使用温度範囲 0℃~+40℃(常温での使用推奨)

設計時のこだわりポイント

  • 頑丈な構造
  • ポッティングシールを貼ってPOP感UP
  • 紙を挟める
  • 背面を紙に貼っても音が聞こえる
  • ストラップホール
  • 少量生産可能
  • 使用している電池
  • 寿命

・頑丈な構造

 オスト・シャベールはボタン型の音声POPですので、お客様が何の疑問や不安も持たずに、つい押したくなるような製品にするということが重要になります。そのために、「ボタン」であるということが直感でわかる形状や子どもが強く押しても壊れないよう頑丈さを持たせて設計しました。
 オスト・シャベールの筐体は耐衝撃性に優れたプラスチックであるABS樹脂でできています。シェル(外郭)はとても頑丈で私が踏んでも壊れることはありません。また、内部には音声基板を保護するためのパーツが入っています。このパーツはボタン面のストローク量を制限しているパーツで、ボタン面を押したときにボタン面が必要以上に押し下げられることにより基板に与えるダメージを最小限にしています。これにより、子どもが力いっぱいボタンを押しても何の問題もなく正常に音声が再生されます。

・ポッティングシールを貼ってPOP感UP

 オスト・シャベールはこのままでもボタンとして使用していただけますが、お客様の「押してみたい!」という興味をより引き出すために、ボタン面にシールを取付していただくことをおすすめします。特にポッティングシールという、印刷面の上に透明ウレタン樹脂を立体的に盛り上げたシールを使用していただくと、より質感が高くぷっくりとしたPOP感のあるボタンに仕上げることができます。
 ポッティングシールにご興味がある方はぜひ担当営業までお声がけください。

・紙を挟める

 オスト・シャベールのシェル(外郭)は輪状の上側のパーツと、ペットボトルの蓋のような形状をした下側のパーツ、ボタン面のパーツで構成されています。印刷物にΦ33.5[mm]の穴を開けてシェルの下側のパーツを裏面から通し、表面から輪状のパーツで紙を挟んで締め付けることで紙とオスト・シャベールを一体化させることができます。表面から見ると、紙からボタンが約6mm飛び出しているだけですので、違和感はほとんどありません。また、BOX形状に組んだ紙に取り付けする場合は、音声開口部を設けることに注意が必要です。挟む紙の厚さは0.5mmまでの紙を推奨します。

・背面を紙に貼っても音が聞こえる

 オスト・シャベールの底面に丸型のスポンジテープを貼り付けしていろいろな場所に取り付けすることもできます。例えば3mmや5mmのスチレンボードといった、上記の紙を挟んだ取り付け方法では取付けすることができないパネルや樹脂製や鉄製の什器などに直接貼り付けてご使用ください。スピーカーはボタン面と反対側の底面を向いているので、通常であればスピーカーの開口部を塞ぐ形ではスポンジテープを貼り付けすることはできません。そこで、本体底面に空いている開口部を側面まで延長し、側面からもスピーカーからの音が流れる構造にしたことで、底面にスポンジテープを貼り付けすることができるようにしました。

・ストラップホール

 オスト・シャベールに設けているストラップホールに松葉やボールチェーンを取付けすることでかんたんにボタン型のストラップを作ることもできます。通常はこういった仕様のノベルティであれば数千~数万個といった大ロットでしか製作できない場合が多いと思いますが、オスト・シャベールは国内で音入れ加工を行っていますので、1個からの少量でも製作可能です。

・少量生産可能

 オスト・シャベールは弊社通常在庫品として取り扱っており、音声基板への音入れも国内で行っているため、1台からの小ロットでも安価で製作可能です。もちろん什器への組込み設計・加工も得意としておりますので、お気軽にご相談ください。

・使用している電池

 オスト・シャベールの電池はLR44というボタン型電池を3個使用しています。ボタン型電池で一般的に多く使用され、入手性の良い電池としてはCR2032とLR44があります。オスト・シャベールを開発する際にCR2032を使用した音声基板を製作し、性能を検証してみました。すると、音声を最後まで再生できないといった不具合が発生することがわかりました。CR2032は初期電圧が3.0Vで、電池の特性が音声基板に使用するには不適当だったのです。そこで初期電圧1.5VのLR44を3個直列接続し、電源電圧を4.5Vとした音声基板を製作しました。この基板は安定して音声を再生することができ、音質も良好であったため、この仕様が現在の製品版となっています。

電池の交換については保証外ですが、行っていただくことも可能です。
交換方法については以下の動画をご覧ください。

・寿命

 オスト・シャベールの寿命は3秒の音声を1万回発報となっています。例えば1日100回音声を再生したとしても100日間(3ヶ月ちょっと)使用することができます。ボタンを押されない時間はほとんど電気を消費しませんので、電池の使用効率が非常に良い音声POPとなっています。

まとめ

 オスト・シャベールは食品売場、お菓子売り場、おもちゃ売り場、家電売場、日用雑貨、書店など様々な売り場でご活用いただいています。ボタンを押して楽しい経験をしていただき、ブランドのイメージアップに繋げたり、商品の購入をしていただくことに繋げられるツールとしてぜひオスト・シャベールをご検討ください。

投稿者

泉

企画開発部 開発チーム

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