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2021.11.16ものづくり

折り紙の仕上げについて

折り紙の仕上げ作業について

こんにちは。大阪紙器設計の原です。
今回は折り紙作品を作った際に、最後に行う仕上げ作業についてお話しさせて頂きます。
仕上げの良さでクオリティが決まる作品はかなり多いため非常に重要な工程になります。
しかし仕上げ作業はかなり難しい工程でもあり、私も毎回苦戦しております。
仕上げの行い方と仕上げが難しい理由を、今回は合わせてご説明させていただきます。


仕上げとは何か?

折り紙の仕上げ作業とは、作品の折工程が全て終了した後に行う作品への表情付けの事を指します。
具体的には、つまむ、ねじる、曲げる、しわを付ける等の作業を行います。
文章だけではよく分からないと思いますので、私の作品の「魔法使い」を実例としてお見せ致します。

上記の写真は仕上げを行う前の魔法使いです。
一見すると、これがどういった物なのかよくわからない状態です。
それでは次にこちらの魔法使いに仕上げ作業を施してみます。

          一枚の紙から翁と杖を折りだした作品になります。折り紙は左右対称の作品が多いのですが、
          この魔法使いのように左右非対称の作品も作れます。
            仕上げ次第で様々な魔法使いを生み出す事が出来ます。

仕上げとして以下の作業を行ってみました。

・杖の先端をつまんでジグザクに折り曲げ、魔法の杖っぽく。

・顔と髭に皺をいれて陰影を作り、表情付け。

・下半身にすぼめるような曲線の折りと皺を加え、ローブを着ているように。

作業前に比べると作品の要所要所に動きが感じられ、魔法使いというモチーフにかなり近づける事が出来ました。仕上げ次第で完成度が大きく変わってくる作品ですので、製作時間の大半を仕上げ作業に使う事もあります。

仕上げの難点

ここまで仕上げ作業の概要をご説明致しましたが、実はこれらの作業には大きな難点があります。
それは仕上げ作業には再現性が無いという事です。
見本を見ながら真似る事は出来るのですが、全く同じ作品を作る事は出来ません。
曲線の滑らかさ、ごく僅かな陰影の差、微妙な紙の皴等で作品の見え方は大きく変わってしまいます。
折工程は全て上手く行ったのに仕上げ作業を失敗してしまい、作品が台無しになる事も多々あります。
また、作る人によって仕上げの質が大きく異なってしまう為、そういった作品の作り方を人に教えるのは非常に難しいです。

逆に仕上げ作業が全くない作品もあります。例えば折り紙の伝承作品の多くは仕上げ作業がありません。また、1つ1つの折り工程が明確であり複雑な工程が少ないです。
それらの作品は作り方を知ればほぼ同じクオリティの物を作る事が出来ます。その為、人に折り紙を教える際は仕上げ作業を行わない作品の方が向いています。
私が以前コラムで紹介した「お化け」も仕上げ作業が無い作品の一つです。

まとめ

再現性が無いという事柄は、紙器設計をするに当たっても注意する必要があります。
紙器什器は量産品である為、組み立てられたそれぞれの什器に大きく差が生じる事は許されません。
誰が組んでも同じ品質の什器になる必要があります。
しかし什器を組み立てやすくする為に、何の変哲もない簡素な什器ばかりを作るのは決して褒められた事ではありません
組み立てやすさと見た目の面白さや美しさ。この2つを高いレベルで両立させる為に、日々の努力と研鑽を積むことが紙器設計士には求められます。

投稿者

原

企画開発部 西日本設計チーム

西日本設計チーム係長
特技は折り紙。好きな言葉は「枯れた技術の水平思考」

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