2021.12.14ものづくり
折り紙の表面と裏面について
折り紙の表と裏
こんにちは。大阪紙器設計の原です。
今回は折り紙の表面と裏面を利用する技法についてお話させて頂きます。
また、紙の表面・裏面という概念は紙器設計に於いても重要である事を、同時に説明をさせて頂きます。
折り紙の表・裏とは何か?
まず折り紙の表裏とは何を指すのでしょうか?
折り紙界では、印刷されて色がついている方を表面。印刷されておらず白いままの方を裏面と呼ぶ事が多いようです。(両面に異なる色が印刷された物もあります)
そして、折り紙は色が付いていない裏面が見えない作品が多いです。伝承作品ですと「鶴」「やっこさん」「風車」等も裏面が見えないようになっています。
何故裏面を使わない作品が多いのか判然としないのですが、紙の裏を使おうとすると紙を裏返すような工程及び構造が必要になる為、難易度が高くなってしまう事が理由として推測する事が出来ます。
裏面を効果的に使用する方法
しかし、紙の裏面を上手く使う事で面白い作品を作る事も出来ます。例として私の作品の「ユニコーン」をご覧ください。
胴体部分は紙の表ですが頭周り~胸と尻尾はあえて紙の裏側が見えるようにし、角は再び紙の表面が見えるようになっています。
紙の裏面を見せる事で模様を作り出し、一風変わった作品へと仕上げる事が出来ました。
このように紙の表面と裏面を使って模様を表現する方法を「inside out(インサイドアウト)」と言います。
この技法はパンダやシマウマ等の白黒の生き物に用いられる事が多いです。
伝承作品では「小鳥」がinside outを効果的に使用した作品として挙げる事が出来ます。
因みに、何故日本語ではなく英語なのかというと、日本語でこの技法を一言で説明できる適切な言葉が無いからだと言われています。
inside outで気を付ける事
上手く用いれば面白い表現が出来るinside outですが、ただ裏面が見えれば良いという技法では決してありません。上記の私の例でいうと、頭から胸までと尻尾のみがくっきりと裏面になっています。
作品全体の意匠にもよるのですが、もしこれが頭~前足の半分だけが中途半端に裏面であったり、後脚の先っぽだけが変に裏面であったりすると唐突感があり違和感を覚えます。
表面にすべき箇所と裏面にすべき箇所を、作品を作る際にある程度決めておかなければ効果的なinside outを用いることはできません。
まとめ
紙器設計を行う上でも紙の表面(印刷面)と裏面(無地面)の取り扱いには注意を払います。基本的に紙製の什器は、店頭でお客様から見える箇所は全て印刷が乗るように設計します。
しかし、予算の関係や使用する紙の大きさの都合でどうしても裏面が見えざるを得ない事が多々あります。
そういった際は、せめてお客様から見えずらい箇所が裏面になるように工夫を行います。基本的には什器の背面側を紙の裏面にする事が多いのですが、もし「背面にも印刷をいれたい」というお客様からのご要望があれば、当然ながらその点を踏まえた設計を行わなくてはなりません。
ただ什器を形作るのではなく予算やお客様のご要望、そして最も優れた什器の見え方。
これら全てをより良く統合する事が優れた紙器設計士の第一歩であり、永遠の課題でもあります