2021.12.14情報
ISO9001 製造業にとって取得するメリットとは?
こんにちは、生産管理部の渡邊です。
以前、ISO14001の概要や取得に際する流れをご紹介させていただきましたが、今回はISO9001についての概要や構成、取得のメリットなどをご紹介させていただきたいと思います。
はじめに
日本適合性認定協会のデータによると、2021年12月現在、国内では23794の組織が認証を取得しています。産業分類で見ると建設での取得企業が多く、次いで基礎金属、加工金属製品の企業が多いとされています。建設業においては総合評価や経営事項審査での加点になるため取得する企業が多く、金属製品の企業については品質を担保するためにお客様からの要求で取得している企業が多いようです。弊社では2016年3月22日に広告関連商品の加工・保管・梱包・発送業務並びに各種製品の倉庫業務を範囲として認証を取得しました。
ISO9001の概要
ISO9001は国際標準化機構(ISO)によって定められた品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格です。規格といってもねじなどの製品に対する規格ではなく、組織のマネジメントに関する規格となっています。対象組織は業種・業態を問わずあらゆる組織が利用し、第三者の認証機関がおこなう審査に合格することで、認証を取得することができ、顧客満足の向上や、製品及びサービスを一貫して提供できるようにするためのシステムを構築する基礎となる規格です。1987年に初版が発行され、その後1994年、2000年、2008年、2015年と改定が行われ、現在では2015年版(ISO9001:2015)が最新となっています。当初は製造業を意識した規格で、製品の品質をどのように管理、保証していくかが焦点となっていましたが、現在の最新版では業種・業態を問わず、また大企業から中小企業まであらゆる活用範囲をカバーするための改訂が重ねられてきたものになります。
ISO9001の構成
ISO9001は序文から始まり、10のセクションで構成されています。ここでは各セクションの要求事項をものすごく簡単にご説明したいと思います。1~3については要求ではなく説明となるので省略します。要求事項全てを記載しているわけではなく、あくまで重要と思われるところを分かりやすく文章にしたつもりですが、ニュアンスや文言において異なる点があるかもしれませんのでご了承ください。
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.組織の状況
組織の内部や外部の状況を把握し、課題を明確にしましょう。
利害関係者のことや、利害関係者が要求することを明確にしましょう。
品質マネジメントシステムの適用範囲を決めましょう。
システムを確立し、実施、維持、継続的な改善を行いましょう。
5.リーダーシップ
トップマネジメントが責任をもって取り組みましょう。
品質方針を確立してみんなに伝え、実施、維持しましょう。
役割や責任、権限を具体的にしましょう。
6.計画
組織の状況からリスクや機会を明確にし、取り組みましょう。
目標を確立し、達成するための計画を立てましょう。
変更が必要な場合も、計画を立てて実施しましょう。
7. 支援
資源を明確にし、活用できるようにしましょう。
誰が何をするのかを明確にし、協力しましょう。
みんなの力量を明確にしましょう。
会社で決めた品質方針、目標などをみんなで共有しましょう。
文書を作成、管理できるようにしましょう。
8.運用
運用の計画を立てて管理しましょう。
製品やサービスに関する要求を明確にしましょう。
製品やサービスを具体化して提供できるようにしましょう。
不適合な製品やサービスを管理して適切に処理しましょう。
9.パフォーマンス評価
監視や測定が必要なものを明確にし、分析や評価の方法を決めましょう。
組織で決めた内容に沿って内部の監査をしましょう。
システムが適切になっているかを振り返りましょう。
10.改善
定期的な改善に取り組みましょう。
不適合があった場合、適切に処理しましょう。
継続的に見直しを行い改善しましょう。
4~10についての構成がPDCAサイクルの形となっており、これらの内容をしっかりと組織に落とし込むことで、継続的改善に繋がる品質マネジメントシステムが出来上がるようになっています。「適切か」「妥当か」「有効か」ということを常に意識しながら繰り返し改善を行うことが必要になります。
ISO9001取得のメリット
一つは初めにお話しさせていただいたように、業種によっては加点対象になることや、取得することでお客様からの要望に応える形になる、という取得すること自体にメリットがあるということが言えるかと思います。もう一つは取得する過程で得られる取組、弊社ではこちらが大きなメリットと考えています。例えば弊社が初めて認証を取得した2016年と、昨年2020年の不適合品(クレーム)発生件数を比較すると、約50%の削減に繋がっています。不適合品が発覚した際の現状把握、発生原因や流出原因の深掘り、対策が適切であり有効かの検証、など様々な取組に影響を受けながら業務改善を行っています。顧客満足度の向上や、製品及びサービスを一貫して提供するための手段として、品質マネジメントシステムを活用することが重要になります。
いかがでしたでしょうか。
ISO14001と同じく、取得すれば終わり。ではなく取得した上で継続的にマネジメントシステムを活用し、PDCAサイクルを回しながらスパイラルアップしていくことで、製品やサービスの品質向上だけではなく企業価値の向上に繋がっていくと思います。
ISO9001を取得している加工場や倉庫をお探しの方は是非一度お問い合わせいただけたらと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。