2022.02.15ものづくり
折り紙で行える曲線表現
曲線折りについて
こんにちは。大阪紙器設計の原です。
今回は折り紙で行える曲線的な表現についてお話しさせて頂きます。
前回のコラムでも曲線を施した一例をお見せしましたが、今回は改めて曲線折りの特徴をご紹介します。
曲線の折りで行える表現とは
紙を折るという行為は基本的には直線で行います。これは折り紙に限った話ではなく、
新聞紙や段ボール箱等の紙製の品々も同様です。
皆様の生活の周りにも紙製品は沢山あると思いますが、曲線の折りが施された物はかなり少ないのではないでしょうか?
しかし、紙に曲線の折りを加えると直線では行えない様々な表現を行う事が出来ます。実際の例を2つ作ってみましたのでご覧ください。
如何でしょうか?上記の例は何れも単純な曲線折りを紙に加えただけですが、直線の折りでは表現しづらい滑らかさや立体感を紙に与える事が出来ています。
また曲線のカーブを緩やかにすると、曲線を境に隣接する面に微妙な陰影が発生する為、そこかとなく繊細で優し気な印象を感じ取る事も出来ます。
それでは、これらの曲線表現を折り紙に行うとどうなるのでしょうか?
一例として私の作品の「鯨」をお見せ致します。鯨の畝(うね)と呼ばれる部分には比較的緩やかな曲線折りを、下半身の下部にはきつめの曲線折りを施してみました。
鯨が持つ優雅さや、力強い躍動感を感じ取れるようそれぞれ意図しております。
形の印象に注意する
上述のように、曲線折りを上手く用いれば様々な印象を与える事が出来ます。
しかし、曲線特有の滑らかさや繊細さが似合わない作品も中にはあります。無骨な感じやシンプル感を表現したい時に曲線折りを用いると、それらが損なわれる事もあるかもしれません。
私の作品で申し上げますと、当ブログの「折り紙で作りやすい形と陥りがちな思考」の記事内でご紹介した「鶏」がそれにあたります。首や胸元、左右の翼には曲線折りを行う事も出来るのですが
折り鶴らしさを残したかったので敢えて直線のみで作品を構成しています。
自分が作ろうとしている作品の意匠に曲線表現が合うかどうかを考慮した上で、適切な曲線折りを施す事が求められます。
まとめ
紙器設計でも折り紙と同様に曲線表現を行う際は注意が必要です。
曲線形状の什器はどうしても柔らかな印象を見る人に与えます。
その為、展示する商品の雰囲気にそぐわない事もあります。
スタイリッシュ感やクールな感じを演出したい時は、曲線とは真逆のカクカクした形状の什器の方が適切であるかもしれません。
自分自身が作りたい什器よりも、商品の雰囲気やお客様のオーダーを念頭に置く必要があります。
また、注意する点は什器全体の形状だけではありません。前垂れの角Rの大きさや訴求面が見えやすい角度。什器のテスター周りの装飾等、気を付けなければならない箇所は非常に多く存在しています
形から受ける印象を正確に理解した上で、それら全てを美しく調和させる事が紙器設計士に求められる能力の一つになります