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2021.06.15ものづくり

デザイン・紙器設計における「見立て」とは

「見立て」の表現について

初めまして。
大阪設計の原と申します。
紙器設計士として働く傍ら、折り紙で色々な物を作るのを特技としています。
折り紙と聞くと子供の遊びのようなイメージがありますが折り紙という世界は意外と奥が深いのです。
そこには、私の生業である紙器設計にも少なからず活かせている技術の共通点があります。
今回は、折り紙を作る上で重要になる技術的概念の「見立て」についてお話します。

折り紙における「見立て」とは?

「見立て」という言葉には、選定する、鑑定を行うといった意味の他に「なぞらえる」という意味があります。
なぞらえるという言葉にピンと来ない方には「比喩的な表現」といえば伝わりやすいでしょうか。
折り紙における「見立て」とはこの「なぞらえる」を指します。

分かりやすい例をあげると折り鶴があげられます。折り鶴は本物の鶴と全く似ていません。
まず脚が生えておりませんし、翼の形状、尾羽の長さ、首の付き方も実在の鶴と全て異なっています。
しかし、折り鶴は鶴として認識されています。折り鶴が出来たのは江戸時代と言われていますが、
当時から写実的な表現ではなく「見立て」を重視していた事がわかります。
鶴が持つ独特の気品を折り紙で表現しようとした結果、写実よりも優れた表現方法としてこの作品にたどり着いたのでしょう。

全てを細かく表現する必要はない

写実よりも「見立て」を重視した例として、私の作品をご紹介します。
折り鶴に比べると上記画像の作品はやや写実的ですが、見立てで羊と象を表現しております。
羊は蹄がありませんし、象は頭と胴体の繋がりが本物の象に比べるとやや異なります。
折り紙の見立てで重要な事は、対象の大きな特徴を分かりやすく表現する事です。
その大きな特徴とは、羊ならば、巻かれた角、もこもこ感、全体のもふもふとした可愛らしさです。
象ならば、長い鼻、大きな耳、そしてどっしりとした重厚感でしょう。
作品の「見立て」はいかがでしょうか。
しっかりと見立てられているでしょうか。

まとめ

上記の「見立て」という考え方は、デザインや紙器設計でも通ずる所があるということがお分かりいただけましたでしょうか?
全ての要素を目立たせよう&目立たせようとすると、逆に一番伝えたい訴求内容が見難くなったり、
什器形状がごちゃごちゃでバランスが悪く見える事もあると思います。
自分自身が最も訴えたい内容を分かりやすく表現することが、
デザインでも折り紙でも大切な要素だと思います。

投稿者

原

企画開発部 西日本設計チーム

西日本設計チーム係長
特技は折り紙。好きな言葉は「枯れた技術の水平思考」

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