2021.07.13ものづくり
私が折り紙でハサミを使わない理由
折り紙とハサミについて
こんにちは。大阪紙器設計の原です。
今回は折り紙とハサミについてお話しさせて頂きます。
一見すると大した事では無いと思われるかも知れませんが、折り紙を嗜んでいる人にとって
ハサミで切れ込みを入れるという行為は、作品の出来を大きく左右する作業なのです。
折り紙にハサミで切れ込みをいれるのは駄目?
ごくまれに「折り紙に切れ込みを入れるのは駄目なの?」という質問を受けることがあります。
結論から申し上げますと、全く問題ありません。
折り紙の伝承作品にもハサミで切り込みを入れた物が沢山ございます。
有名所では一枚の紙で複数の鶴を作る「連鶴」が挙げられますし、
七夕の短冊飾りもハサミを使った作品といえるでしょう。
しかし折り紙でオリジナルの作品を作っている人は、全くと言ってよいほどハサミを使いません。
殆どの人は1枚の正方形に切り込みを入れないで作品を作ります。ハサミを使った方が自由に様々な形が作れるのに、何故使わないのでしょうか?
連鶴の一例と短冊飾り ちなみに連鶴は49もの種類がありそれぞれに名前がついています。
画像例は「妹背山(いもせやま)」
制約があるから工夫が生まれる
人によってハサミを使わない理由は色々あると思いますが、私がハサミを使わない主な理由は、
「切り込みをいれない」という制約がある事により、作品を作る上で様々な工夫が生まれるからです。
様々な工夫を凝らした例の1つとして、私の作品「龍」をご紹介します。
一枚の正方形の紙から龍の「角」「髭」「目」を表現している他、それぞれの手足には指が3本はえています。
ハサミを使えば角も指も簡単に作れたかも知れませんが、制約があるからこそ、工夫や新しい表現方法が生まれるのではないでしょうか?
この作品の構造を考えるのに1週間程悩んだ記憶がありますが、悩んだからこそ自分でも納得の出来る作品が完成したと思います
まとめ
紙器設計を行う上でも同じ事が挙げられます。案件によって予算が限られていたり、組み立てを極力簡単にしなくてはならない等。様々な制約があります。
制約が多ければ多いほど設計を行うのは難しくなりますが、手段が限られているからこそ、新しく生まれてくる工夫が必ずある筈です。
限られた条件でいかにお客様を満足させられるかが、紙器設計をはじめとしたクリエイターの腕の見せ所ではないでしょうか?