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2021.09.14情報

大公開!!東具6年間の太陽光発電実績

こんにちは。開発部の山本です。

当社は2015年5月に東大阪物流センターを新築移転しているのですが、その際に太陽光発電システムを導入しています。
これまで「物流センターにはソーラーパネルがついている」程度の認識しかなかったのですが、設置費用や実際の運用データなどの実態を色々と調べてみましたのでご紹介させていただこうと思います。
太陽光発電システムの導入をご検討されている企業様もいらっしゃるかと思いますので、このコラムが少しでも参考になれば幸いです。

■設置の経緯

今回の調査にあたって、当社代表の清水に太陽光発電システム設置の経緯を聞きました。

―東具物流センターで太陽光発電システムを導入しようと思ったきっかけは何ですか?

清水:当時、東具では具体的で効果的な環境や省エネ対策に取り組んでいなかったという現実がありました。地球温暖化や環境問題がますます取り沙汰される様になり、物流センターの新設を良い機会として、環境対策の「初めの一歩」という思いから導入に至りました。
また、金額的な面で試算をしたところ、時期的に設置コストが年々下がっていたタイミングでもあり、減価償却とのバランスが良く取り組みやすい設備だったという事も理由の一つです。


■ソーラーパネルの設置環境

東具東大阪物流センター(東大阪市稲田新町2丁目)は周りに高い建物も無く、屋根に影を作るような障害物がありません。降り注ぐ太陽光は全て受けることが出来る環境です。
ちなみに、大阪府の2015~2020年の年間平均日照時間は2139時間、日射量は年平均14.45MJ/㎡となっています。全国日照時間ランキングでは高い年で2016年の7位、低くても2020年の17位と、毎年上位20位以内には入っています。
内訳を見ると、年間の最高数値は5月と8月が各年で取りあい状態。6・7月は梅雨があるので思っているより高く出ないようです。4月後半~5月には地球に降り注ぐ太陽のエネルギーがぐーっと増えるという事ですね。ソーラーパネルにはいい季節になりますが、お肌には厳しい季節です。紫外線対策は4月からしっかり始めた方が良さそうです。

ピンクの部分が1年の内で一番日照時間が長かった月です。
5月と8月が1年ごとに年間1位を取り合っています。

薄黄色の部分が1年の内で一番日射量が多かった月です。
上図の日照時間と連動しているのがわかります。

■設備

東具物流センターには現在太陽光パネルを3か所に設置しています。
実際に屋根に上がって撮影してみました。
2021年7月28日AM撮影。天候は少し曇りがちでした。
かなりの暑さを覚悟していたのですが、実際は風があったので思ったより涼しく、見晴らしも良いのでとても心地よかったです。

上空から見た物流センター。
黄色枠部分が太陽光パネルです。
パネル総数は3か所で計245枚。
傾斜がほとんど無い屋根に添うように設置されているのですが、実はソーラーパネルは地域によって最適な傾斜角度があり、大阪の最適角度は南向きで約30度。
発電効率は少し劣ってしまうようです。

上の写真の「T」の文字の左横にあるパネルです。
パネル1枚のサイズは縦1318×横1004×厚み46mm。
こちらは6×14枚=84枚のパネルが並んでいるので、1面は
縦:約18.4m
横:約6m
写真だとコンパクトに見えますが、実物はかなり大きいです。

「U」の文字の左側にあるパネル。
こちらも1面が18.4×6mです。
物流センター長が見切れています。

「T」の文字の右側にあるパネルは77面、
先の2面より面積は少し小さいです。
(こちらは一段高い屋根に設置しているので撮影できませんでした…)

少し寄ってみました。
よく見るとところどころ汚れています。汚れの程度によりますが、汚れが付いた部分は発電効率が悪くなるので定期的な清掃が必要です。
ちなみに、この汚れを専門業者に依頼をせず自力で落とすには、ケルヒャー社製の高圧洗浄機と太陽光パネル専用ブラシ、専用洗剤を使えば可能だという事がわかりましたが、もろもろの購入金額と労力と故障させてしまうリスクを考えると、、、なかなか難しい判断になりそうです。

もっと寄ってみました。
イメージしていたものとさほど変わりは無かったですが、青くてツルっとしていて綺麗です。

こちらは屋上に設置しているパワーコンディショナーという、太陽光発電に必須で重要な装置です。太陽光で作り出した直流電力を交流電力に変換し、利用に適した、安定した出力に整える役割を持っています。
ソーラーパネル3面に対して、パワーコンディショナーは9台。
(写真は6台ですが、離れたところにあと3台設置されています。)
1面につき3台のパワーコンディショナーを使用しています。
設置容量は49.5kWで、低圧連系の契約です。

太陽光発電には低圧、高圧、特別高圧の3種類があるのですが、50kW未満の低圧連系は届け出が簡略化されているという事もあり、導入のハードルが低いことが特徴です。

屋上から一気に地上1階へ舞い降り、撮影したこちらは太陽光システムWHM盤です。
当社では発電した電力は全て系統連系契約で売電しており(全量買取)、パワーコンディショナーで安定した電気はこちらに集約され、電力会社の配電線に接続され送電されていきます。

こちらは4階にある屋内の機器です。
上部には、屋上に設置されていたパワーコンディショナーのリモコンモニター、下部には非常時用のコンセントが設けられています。

ソーラー1面=3台のパワーコンディショナー を1つのモニターで管理しています。
撮影時間は午前9時33分(曇り)、表示されている数字は「今、発電している発電量」です。
設置したソーラーパネルの内の一面の瞬間発電量は3.62kW、という事になります。

非常用のコンセントは9個。
ソーラー1面につき3個になります。
現状では太陽光発電システムと物流センター内の照明や空調などに使用する電気配線は連動しておらず、停電時などに館内の照明や空調を太陽光発電に切り替える、ということは出来ません。停電などの緊急時にはリモコンで「連系運転」から「自立運転」に切り替えることで電力会社への送電を停止し、こちらのコンセントから電気を取り込むようにします。
有難いことに今までこのコンセントを使用しないといけない状況に陥ったことはありませんが、このコンセントに直接プラグを差し込める電化製品しか使えないのと、蓄電池を置いていないのでで電気の供給が天候や時間に大きく左右されてしまうのが実際のところです。

■天候による発電量の差は?

太陽光発電は季節や天候によって発電量が左右されるという事は想像がつくのですが、1日の内の時間帯によってどれぐらいの変化があるのか、8月初旬の晴れた日と曇りの日で比較してみました。

【比較した日の天候】

8月5日:この日は1日中かなり天気がいい日でした。雲の量はどの時間帯でも半分以下、太陽光発電日和です。

8月6日:翌日は一転、日中の雲量が9割以上と、あまり発電量が見込めない事が予想されます。

ソーラーパネル1面分の時間別発電量です。
8月5日(晴)の1面あたりの発電量の流れは、
 8:40頃 ・・・ 8.81kW
 11:40頃・・・11.52kW
 14:40頃・・・9.7kW
 16:40頃・・・4.37kW
 17:40頃・・・1.38kW
でした。
正午にかけてピークを迎え、15時頃を境に夕方になると発電量が大幅に低下している事がわかります。
太陽光発電のゴールデンタイムは正午前後3~4時間といったところでしょうか。


8月6日(曇)の時間別発電量です。
 8:45頃 ・・・ 5.46kW
 11:40頃・・・7.38kW
 14:50頃・・・6.38kW
 17:00頃・・・1.04kW
 18:00頃・・・0.8kW
前日と比べて多少時間のズレはありますが、5日の発電量を100%とすると、
6日の発電量は1日を通して約50%程度にとどまっている事がわかりました。

■毎月の発電量は?

それでは、当社ではソーラーパネルで毎月どれほど発電されているのか、通常消費している電力(買電)とあわせてデータを確認してみます。

表は一か月ごとの太陽光発電の発電量と、通常電力の消費量です。
太字の部分が、その年で一番発電/消費している月になります。
この表を見ると、発電量は7・8月に多いことがわかります。
一方、電力消費量も8月を中心に夏場に集中しており、エアコンによる電力消費が多いことが推測されます。


■元を取るのに何年かかるのか

設備を設置する上で最も気になる内の一つ「何年でペイできるのか」。
投資金額に対する元金回収期間を計算してみました。

▼初期費用(50kW未満の低圧連携契約):約20,000,000円
▼6年間(2016年~2020年)売電価格:約10,300,000円・年平均1,716,660円

上記から計算すると、元金回収期間は約11.7年、2015年5月から設置しているので、2026年中には回収が完了。
あと5年で利益が出てくるという事になります。


■メンテナンスと耐久年数

ただし、先ほどの計算はあくまで初期費用のみを取り上げて計算した場合であり、メンテナンス費用や、設備の寿命を考えると10年経てば利益しか生まれないというわけではありません。
それぞれの耐久年数は設備ごとに違い、
・太陽光パネル・・・約20~30年
・パワーコンディショナー・・・約10~15年
・WHM盤・・・約10年
と言われています。
また、ソーラーパネルの清掃などのメンテナンス費用や買い替え時の廃棄費用などを見込んでおくことも必要です。

■ソーラーパネルで消費電力分を発電するには

東具物流センターでは太陽光発電量と消費電力量を比較した場合、すべての消費電力量を太陽光発電で作り出すにはどれぐらいソーラーパネルを設置すればいいのかを計算してみると、
太陽光発電の年間発電量は年平均約50,000kW。
一方消費電力は年平均約285,000kW。
単純計算すると現状の5.7倍の面積をソーラーパネルで埋める必要があります。
物流センターの屋根の総面積約1,290㎡に対し、現在設置しているソーラーパネルの総面積は約322.8㎡。ぎちぎちにソーラーパネルを敷き詰めても550㎡分のパネルが設置できないという事になります。


■売電で押さえておきたい「FIT制度」と「FIP制度」

FIT制度

2009年11月、低炭素社会の実現を目的として「余剰電力買取制度」が開始されました。
それにより電力会社には家庭や事業所などでの太陽光発電からの電力を一定の価格で買い取ることが義務付けられ、一方消費者は「太陽光発電促進賦課金」として電気使用量に応じて負担することになりました。
その後、「余剰電力買取制度」は2012年7月に廃止されると同時に新しく設けられた「FIT制度(固定価格買取制度)」へ移行します。
この「FIT制度」は、当時それほど普及していなかった再生可能エネルギーによる発電を行う事業者や家庭の導入を促進する目的で、再生可能エネルギーで発電した電気をあらかじめ決められた価格で一定期間買い取るよう電力会社に義務付けた制度です。

買取価格は経済産業省が毎年設定しています。再生可能エネルギー発電を導入した年に定められた買取価格が一定期間保証されるというわけです。
価格決定の目安は発電設備の設置コストの相場との兼ね合いで設定されており、現状では設置コストの相場が年々下がっていくにつれ買取価格も下がっています。
ちなみに、「一定期間」とは、設置した太陽光パネルの発電容量によって変わります。
太陽光発電の場合は10kW未満で10年間、10kW以上で20年間となっています。

東具が太陽光発電システムを導入した2015年の買取価格(10kW以上)は29円/kWhでしたが、2021年では12円/kWhと、半額以下にまで下がっています。
逆に言えば、その分設置コストも下がっているという事になります。

また、FIT制度は2020年から新規での設置容量50kW未満の低圧連系は全量売電の対象外となっており、電力の自家消費比率を30%以上にする必要があるなどの条件が設けられています。

FIP制度

これまで、すべての設置容量で適用されていた「FIT制度」でしたが、2022年4月から設置容量が50kW以上の発電設備を新規導入した場合には、「FIP制度」が適用されます。
市場価格に関わらず一定の価格を補助していた「FIT制度」と違い、「FIP制度」は、市場価格+“プレミアム価格”を上乗せした価格設定で売電するという制度です。


※経済産業省 資源エネルギー庁HPより

市場価格によって売電価格も変動するので売電収入予測が立てにくい反面、時間帯によって売電価格が変動するため、蓄電池を利用して買取価格が高い時間帯に売電するなどの工夫をすれば、より収益を拡大できるというメリットがあります。

出来立てホヤホヤのまだ始まっていない制度になりますので、今後細かい部分で制度内容の修正などが入ることも考えられます。
50kW以上の発電システムを導入検討されている企業様にとっては引き続き注目すべき制度です。

20年後の「卒FIT」

東具ではFIT制度により太陽光発電システムを設置した年から20年間の売電価格が保証されていますが、20年後にはどうなるのでしょうか。
現状では、FIT制度で定められた一定期間の契約が満了(FITからの卒業=「卒FIT」)を迎えると自動的に契約電力会社の通常買取価格が適用されるとこになっています。
現在、各大手電力会社の通常買取価格は大体7~9円/kWhとされており、卒FIT前と比べると3~5分の1程度にまで買取価格が下がってしまいます。

再生可能エネルギーに関する制度はこれまでも色々な改正があった事を考えると、今後も状況に応じて改正や新たな制度が設けられる可能性もありますが、現状では
・大手電力会社よりも高い買取価格設定をしている新規電力会社との新規契約する
・発電効率の高いシステムへの買い替え
・蓄電池を利用して自家消費型に変え、買う電力を削減する。
などの工夫をして、制度を利用できていた期間の価格とのギャップを埋める対策が必要になります。


■太陽光発電以外の省エネ対策

東大阪物流センターは、太陽光発電以外の省エネ対策として、「ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS/ベムス)」を導入しています。
各エリアの室温をリアルタイム管理し、あらかじめ設定した建物全体の最大電力をに応じて自動で空調制御をしてくれるシステムです。
また、エリアごとに制御の優先順位を決めることもでき、室温が上がると作業効率に影響が出るエリアでは制御しない、などの設定も可能です。

エリア別に運転状態、冷暖房の設定温度、現在の室温など一覧で確認することが出来ます。
下から3番目のエリアは制御中(一時的な停止)になっています。

制御中のエリアの詳細画面です。
12時前から制御されているのがわかります。
ちなみに、館内のエアコンを同時につけてしまうと最大電力をオーバーしていまうので、
1時間おきぐらいに順番を決めてつけていきます。

■最後に

いかがだったでしょうか。
東具で運用している太陽光発電システムや省エネ対策の実態をご紹介いたしました。
調べて感じたことは、当たり前のように使っていた電力の具体的な数値を見ると電気を使っている実感がわき、会社だけではなく家庭レベルでも電力の無駄遣いを減らす意識を持つことで、消費量は抑えられるだろうという事でした。
太陽光発電システムを設置できる企業や家庭はまだまだ少なく、自家消費を含む国内全体の自然エネルギー発電量は約20%と、依然化石燃料に頼らざるを得ない状況ですので、意味が無いと思えるほど微力かもしれませんが、省エネ意識をこつこつ行動に移していきたいと思います。

投稿者

山本

企画開発部 開発チーム

山本

開発チーム メンバーの山本です。
アーモンドフィッシュが大好きです。

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