2021.09.14ものづくり
折り紙に適した紙とは?
折り紙の紙について
こんにちは。大阪紙器設計の原です。
今回は折り紙を折る為の紙ついてお話しさせて頂きます。一口に紙と言っても多種多様な紙がありますので、私がよく使う紙を中心にご説明致します。
市販の折り紙用紙は使わないのか?
折り紙を折る為の紙と聞くと、様々な色が入った数十枚入りの市販の商品を思い浮かべる人が多いと思います。私も折り紙の練習用に市販の物をよく使っています。
しかし、市販の折り紙用紙を用いて作品を作る事は全くと言って良いほどありません。
これは私に限った話ではなく、本格的に折り紙をされている人で市販の折り紙用紙を用いて作品を作る人は非常に少ないです。
これには幾つかの理由が推察できますが、私の場合は2つの理由があります。
1つは作品が複雑になると細部を作りこむ為に大きな紙が必要になり、市販の物ではサイズが小さい事。
もう1つは紙の厚みによって作れる作品が大きく変わるからです。
薄い紙の利点
実際の例として私が創作した「サソリ」をご覧ください。サソリには8本の足と2本の鋏がありますが1枚の紙に切れ込みを入れないで全て折りだしています。
この作品に使用した紙は、実は靴の包み紙です。包み紙のように非常に薄い紙は総称して薄葉紙(うすようし)と呼ばれます。
紙が薄いと細かい折りは勿論の事。ねじる、とがらせるといった加工が容易に行える為、昆虫等の節足動物を作る際に非常に便利です
紙が薄いという事は軽いという事でもありますので、重い紙(厚みがある紙)では行えない繊細な表現を行う事が出来ます。
市販の折り紙用紙ぐらいの紙の厚みだと、作品が完成に近づくにつれ分厚くなってしまい最後まで折りきる事が出来ません。
大切なのは紙の選択
では、折り紙に使う紙は薄ければ薄いほど良いのでしょうか?
残念ながらそうではありません。
試しにサソリを折った紙と同じ紙で伝承作品の「ブタ」を作ってみました。右側のブタが同じ紙で折った物、左側のブタは市販の折り紙用紙で折った物です。
左のブタが4本の足で自立しているのに対し、右のブタは足がぐにゃぐにゃでへたってしまっています。
これは紙の強度が足りず、形状が維持できていない状態です。
薄い紙だから良いのではなく、使用する紙が本当にその作品に合ってるかどうかを吟味する必要があります。
まとめ
適切な紙の選択は紙器設計に於いても非常に重大です。
重い商品を展示する什器に薄い紙のみを用いれば、強度が足りずあっという間に壊れてしまいます。
軽い商品を展示する什器に厚い紙や頑丈な段ボールを使うのは過剰であり、費用が嵩んでしまいます。
紙の厚みが薄ければ良い、厚ければ良いという考え方ではなく、
製作物に対して最も適した紙を選択する事が、折り紙でも紙器設計でも重要になります。